Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


あけおめことよろ 2005年1月1日 20:11

 あけましておめでとうございます。今年も二輪業界や国内2輪専門誌や国内4メーカーはバカげたことをしでかすべく、宜しくお願い致します。
 えっ? 何々? 新年早々“ごあいさつ”なご挨拶だって? いや、上記の方達がバカげたことをしてくれないと、私もネタに困るのだよ。(笑)

 さて、私はことあるごとに国内2輪メーカーの愚行を指摘してきたが、立ち読みだった為に定かではないものの、(たしか『ライディングスポーツ』誌だと思ったが)国内2輪専門誌にて、ヤマハの株価がロッシの活躍効果もあってか、急騰しているという記事があったが、読者の中でも知っている人はいるかもしれない。
 そこで私は、普段ならノーマークのヤマハ発動機や国内2輪メーカーの企業情報を、誰でも手に入る公平な『会社四季報』にて調べてみた。
 すると、ヤマ発は欧州やアジアでの2輪のセールスが予想以上に好調だということが分かった。しかし、それならば、他の2輪メーカーも好調なハズだと思ったが、他の3メーカーは、スズキがアジアでの販売が好調と記述されている以外は、特別2輪に関してふれられておらず、株価も業績もヤマ発ほどよくはなかった。恐らくそれは、ヤマ発だけが2輪販売に特化しているメーカーだからだろう。
 そしてヤマ発の業績を見てみると、利益が急増し、莫大な現金も稼いでいることが分かった。また、2001年には2321億円あった借金が、2004年には1185億円に圧縮されていることも分かった。借金が減っているのは、現金を沢山稼いでいる証拠であり、実際2004年は、540億円のフリーキャッシュフロー(企業が真に自由に使えるお金)を稼いだようだ。これならば、1人のイタリア人に10億円支払う気にもなるだろう。
 そして株価は、2003年の4月の806円から、2004年の7月には1700円を超えた。ざっと2倍の値上がりである。なるほど、株価について報じることなどめったにない国内2輪専門誌も反応する訳だ。

 しかし、これを見て、今後ヤマハの株に手を出そうと考えているビギナーには、あえて警鐘を鳴らしたいと思う。

 ヤマハの株価を過去をさかのぼって観察すると、まるで嘘つきを嘘発見器にかけた時のグラフのような動きとなっている。1997年中頃には1400円になったかと思うと、1998年初頭には700円、1998年中頃には1100円、1999年初頭には再び700円、中頃には1100円、その後も株価は乱高下し、アジアの好調が始まった2003年から株価は上昇をはじめ、2004年7月に1700円まで上がったが、現在は1500円で落ち着いている。
 これは明らかに市況関連株である。

 成長産業は、利益の拡大と共に株価は上昇するが、市況関連株の場合は、景気に応じて収縮と拡大を繰り返す。自動車、航空、タイヤ、鉄鋼、化学などの関連銘柄は、全て市況関連株である。
 市況関連株は、活況期になると元気づき、不況時には打撃を受け、株主も痛手をこうむる。
 市況関連株は、ビギナーの投資家にとっては、最も誤解されやすい株である。利益が増え、株価も上昇し、名前のある大きな会社だと、ビギナーの投資家は、市況関連株を“優良株”だと錯覚しやすい。
 もしあなたが株式投資について、“少しは知っている”方ならば、PERが低い銘柄は、割安なので買いシグナルが点滅したと思うことだろう。しかし、市況関連株の利益が増大し、その後PERが下がった時に投資することは、投資資金を半分にしてしまうチャンスでもある。

 理由を説明しよう。市況関連株は、売買のタイミングが全てという種類の株である。企業が活況期に入ったことを察した青い目、つまりはウォール街のプロの投資家達は、停滞していた市況関連株を買い始める。こうして株価が上昇すると、黒い目をしたアマチュアの個人投資家が上げ潮に乗り始める。しかし、青い目は不況期に入る前に、先を見越して市況関連株を売り始める。しかし、まだ利益は増大しているので、青い目が売り始めると、PERは下がっていく。この低いPERを見て「割安だ」と思って市況関連株に手を出すと、アッという間に投資資金は半分になってしまい、その損を取り戻すまで何年もかかるという事態になることが多い。従って、私と市況関連株の相性は悪い。
 なぜならば、私は海の向こうの青い目をしたプロの投資家にはかなわないと謙虚に考えているからで、レースに勝つ為には、弱い競争相手を選ぶことを好むからである。

 ちなみに、私のカンの正しさを証明するかのように、ヤマ発の2001年の外国人の持ち株比率は14.1%、2002年は11.6%、2003年は15.6%と、あまり変化がないのに対し、2004年には23.1%と急上昇している。つまり、ヤマ発の株価を押し上げたのは、青い目であると言える。私はこれまでに、奴らの逃げ足の早さと、波に遅れて高い授業料を支払った日本のアマチュアの個人投資家の例を沢山見てきているので、ヤマ発の株に素人が手を出すのは危険だと考えている。
 つまり私からの助言は、市況関連株は、“先取りゲーム”であり。売買のタイミングが最も難しい種類の株なので、よほど業界のリズムに詳しく、自信がない限りは、手を出さない方が無難である。
 更に言えば、まだまだヤマ発の好業績は続き、株価も上昇するだろうと“賭け”に出る場合、それは投資ではなく“投機”である。投資は、手元の投資資金が確実に増えるように運用しなければならない。いちかばちかに賭けるのは、ギャンブルであって投資ではない。

 話変わって、川崎重工業は、プラント事業を今年の4月にスピンオフ(分社化)するそうである。いいぞ! その調子だ! カワサキは、全ての事業を分割して統治すれば、最高に素晴らしい企業に生まれ変わるだろう。ようやく私の言うことの正当性を理解し始めたようだ。
 ちなみに、スズキ、ホンダは、2輪と4輪に手を出しているので、冴えない動きだ。更に言えば、ホンダが作ったロボットや飛行機は、業績の悪化を案じさせるもの以外の何物でもない。もちろん将来のことは誰にも分からないが、ひとつ確実に言えることは、株主に支払われるべき利益の一部を、ホンダはロボットを走らせることに使ったということだ。

 一般的には、技術の進歩は素晴らしいことだとされているが、企業の場合には、技術の進歩は株主にとって害になることが多い。
 例えば、航空産業は利益を生まない業種として有名だが、もしライト兄弟が空を飛んだ時に、未来の資本主義者がその場に居合わせたならば、恐らくライト兄弟は撃ち殺されていただろうと言われている。
 株主にとって利益があるのは、単純で永遠に売れ続ける商品を強い価格決定力で売っている企業への投資だと言える。
 これが、前時代的な作りをしているオートバイを売っているハーレー・ダビッドソンという企業を私がベタ褒めする理由であるが、もし仮に、カワサキがZシリーズから新技術の投入がなく、今現在も鉄のかたまりをしたZを売り続けていたら、ハーレー・ダビッドソンのような素晴らしい企業になったと思う。その点、ヤマハが素晴らしいのは、今でもSRがラインナップにあることであり、ホンダはモンキー・ゴリラがラインナップにあることである。レーサーレプリカブームは、何を売り出してもパイの拡大が吸収してしまうお祭り騒ぎだったが、これが国内2輪メーカーを狂わせた原因になったことを指摘する識者は少ない。それは国内2輪専門誌のライターが、オートバイの新技術をネタに生きている内に、ネタの及ぼす悪影響については頭が回らなくなったせいだろう。

 しかし、投資家は金儲けにシビアなので、物事を冷厳に見つめることができる。もしお金と時間に余裕があれば、皆さんもマーケット(株式市場)に足を踏み入れてみてはいかがだろうか? 恐らく、株式投資を通じて、株のことよりも、マネージメント(経営)について詳しくなるハズである。
 なぜならば、株式投資の極意は、優秀な企業の株を買うことであり、優秀な企業とは、優秀なマネージメントを行う企業だからである。
 こうした理由から、現在自営業者か、あるいは将来自営業者になる予定の方は、特に株式投資はお薦めである。




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