Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


Long time no see 2005年4月7日 15:11

 ロング・タイム・ノー・すいってる調子にて、おひさしぶりぶりです。
 さて、私は他人の意見を全く求めないという、類いまれな才能を有している人物で、自分自身、この才能を宝物のように大事にしているが、私の記述に対してコメントが入るブログというシロモノ家電には、まるで付き合っている彼女の父親との会話のように、あまり、否、全く相性がよくなかったようなので、ブログは中止し、再び『アーブの手紙』を『アーブの日記』にくらがえし、こちらに日記ライクなことを書くこととした。
 まー、その方が嬉しいという読者も多いことだろう。
 実際問題、日記スタイルの方が、他人にコビを売ることなく、好き勝手なことを書けるし、それに対する読者からの期待もひしひしと感じていた訳だが、私が再び日記を書く気になったのは、以前の私が記述した『アーブの日記』から、メーカーの人間は何も学んでいなかったからでもある。(彼らは私が日記を公開している間、居眠りをしていたに違いない)そう、私は2輪業界における、ホイッスル・ブロアー(警鐘を鳴らす者)の役割を買って出ている訳だが、多くの業界関係者は、2輪業界におけるラディカル(根源的)な問題について気付いていない。私が考える業界の問題点は、弁慶さんやレッド・バロンさんがオートバイを安売りすることでもなく、ホンダが、父ちゃん社長母ちゃん専務の小さな販売店をイジめたあげく、ストレートにブッ潰すことでもなく、おかみがドン臭いが為に、いつまでも高速道路で2人乗りが出来なかったことでもなく、いつまでもオートバイにETCがつかないことでもなく、オートバイ専門の駐車場が少ないことでもなく、国内2輪専門誌のパブリッシング(編集)が、いつまで経ってもアクビが出るほど退屈なことでもない。我が国の2輪業界の最大の問題点は、全世界の人達が、最も高性能なオートバイを、最も安価に大量に生産していると考えている日本という国において、オートバイ専門メーカーが存在しないことである。
 面白いことに、多くの業界関係者、そして、実際にオートバイに乗っているライダー自身も、ほとんど全員そのことに気付いていない。
 『アーブの日記』の底辺を流れる潮流は、このことに対する問題提起である。

 よくよく考えれば、当たり前の話だが、ホンダ、スズキ、カワサキの3メーカーは、オートバイ以外の部門が圧倒的に大きな比重を占め、私自身驚いたが、一見、オートバイ専門メーカーに見えるヤマハですら、営業利益の30%しかオートバイを売っていない。そしてヤマハの新しい社長は、オートバイの免許すら持っていない。
 まるで、金持ちの未亡人を口説く詩人の口説き文句に利用されそうな程、2輪業界にとっては悲観的な状況である。

 私は、2輪業界の問題を一気に解決する解決策として、以前からメーカーの2輪部門のスピンオフ(分社化)を訴えている。そして、私の元にやってくるテキトーな業界関係者に対して、世間話的にそのことを話しても、ほとんどが世間話で終わってしまうが、インターネットの日記でロジカル(論理的)にそれを示すと、こちらの方が説得力があるようだ。

 さて、もちろん人生が捨てたものではないかのように、株を空売りする人や、金持ちの未亡人を口説く詩人のような悲観論者だけではなく、レースに挑むYKTさんや、万年強気の株屋のように、楽観的な要素もある。
 それは、最近では個人投資家が増えたことで、株式投資に対する関心がパンピーの間で高まっていることである。
 株式投資の極意とは、「良い企業の株を買え!」だが、そうなると、「良い企業とは何か?」という疑問が生まれ、良い企業とは良いマネージメントを行う企業だということになり、すると投資家は株を買う為に、良いマネージメントについて学ぶことになり、株式投資を始めると、株のことよりも、マネージメントについて詳しくなるのである。
 そして、例えば私のように、オートバイが好きな人間ならば、まず真っ先にオートバイに関連した企業のマネージメントに注目することだろう。ところが、『会社四季報』を開き、4メーカーについて調べてみると、皆さんがオートバイメーカーだと思っている4メーカーが、実はオートバイなど片手間に売っていることに気付くことで、愕然とすることだろう。例えば、新車が爆発的にヒットしそうな予感がしても、メーカーの株価になど、ほとんど影響もしないのである。つまり、すでに4メーカーは、企業としてはデカくなり過ぎて、株価の動きも鈍重であり、投資してもあまり面白味に欠けるといった調子なのである。
 しかし、何かに特化している小さな企業ならば、儲けのチャンスもデカくなることにあなたは気付くかもしれない。
 例えば部品メーカーである。部品メーカーは、作っているものに特化していればいる程、何でも屋よりも成長のスピードが早いことがある。しかし、特化していれば良いかというと、そんなに簡単な訳ではなく、いかに現金を稼ぐ体質になっているかが重要である。
 以前、新会計基準が導入された時に引き合いに出されたのが、花王とライオンである。花王とライオンは、売っている商品は、ほとんどどちらも一緒で、洗剤や石鹸などを売っているのだが、花王はキャッシュリッチで、ライオンはあまりキャッシュフローを生まない体質になっている。(現在は改善されているかもしれない)
 同様に、2輪に関する部品メーカーにおいても、ニッシン(この企業の株は買って良かった)に対して、トキコ(この企業の株は買わなくて良かった)は、キャッシュフロー的には弱いメーカーである。
 つまり、企業に投資するならば、莫大な現金を稼いでいる企業に投資した方が良いというのが、私のお薦めである。

 うん? ある意味日記らしく、話が脱線してしまった。本題に戻ろう。
 私がブログなどといった子供だましのオモチャを捨てて、再び説教台に立つ気になったのは、もちろん、2輪業界の将来を危惧しているからなのだが、その辺にあるバイク屋のオーナー、もしくは店長と世間話をすれば、あなただって業界の未来を悲観することだろう。私自身、ここ10年の間に、バイク屋から聞いた最も楽観的な言葉は、「バイクが売れないよ」だが、もちろん、バックミラーから未来を見ることは出来ないので、明るい将来についても展望してみよう。
 私からの提案は、(何度も言うようだが)以前紹介したハーレー・ダビッドソン社の成功のように、メーカーはオートバイ部門をスピンオフ(分社化)すべきだというものだが、このままだと、恐らくCEOはそのことに気付かないだろう。そこで、メーカーのオートバイ部門に従事する幹部の中で、オートバイが心底好きだという人がいれば、LBO(レバレッジド・バイ・アウト)を利用して頂きたいと思う。

 つまりは、オートバイ部門の資産を担保に金を借りて、オートバイ部門を買収するのである。もちろん、敵対的にやる必要はなく、CEOと話し合って、建設的に進めればいいだろう。そう、かつてのハーレー・ダビッドソンのように…。
 4メーカーの中で、どこが最初に実行するかは分らないが、実行した場合には、そのメーカーはマネージメントが強くなるだろう。何せ、トップのモティベーションが違うからである。

 そして、このモティベーションは、業界の隅々まで影響力を発揮するだろう。更には、ハーレー・ダビッドソンの社長のように、業界の外の世界にまで影響力を発揮することだろう。現在抱える2輪業界の細かな問題点は、一気に良い方向へと向うことだろう。そう、まるで今までの足踏みがウソだったかのように…。

 メーカーのオートバイ部門の幹部は、小林ゆきがネタに困ってブログを閉鎖するハメになることを目指し、LBOを利用してオートバイ部門をスピンオフすべきである。もちろん、実現したあかつきには、私もインターネットの世界から、現実世界に亡命し、オートバイに乗ることのみに集中することだろう。
 全ての問題を解決する糸口は、トップの強力なモティベーションである。

 オートバイ専門メーカーの誕生に期待したい。



↑は、本日撮影した青山墓地の桜。




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