Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


大切な本 2005年4月8日 12:10

 暴走族風のオートバイを売るショップの広告が入るので、内容が良くても気分を害すと言われ続けた、悪評粉々たる『ミスターバイク』誌から、名望うるわしい『ライダースクラブ』誌に至るまで、国内2輪専門誌は、私達を啓蒙するのではなく、自らの利益の為に、私達にバイクに乗れと駆り立てる。
 もちろん、多くの国内2輪専門誌は、大切な広告主に色目を使い、新車を買えと訴えかけるが、他誌と差別化したいと考える雑誌の中には、絶版車に乗ることこそ楽しいなどと訴えかける。ようするに、新車だろうが、絶版車だろうが、彼らは何かに乗れと私達に訴えかけている。
 否、実のところ、国内2輪専門誌は、私達がバイクなど買おうが買うまいが、むしろ自分が売る雑誌を定期購読してもらう方がありがたいのかもしれない。そう考えると、オートバイを買う前の人の方が、国内2輪専門誌に対して諸手を挙げて歓迎している最も浮き足立っている、いわば上得意とも言え、オートバイを買ってしまった後の人の方が、雑誌を買う比率はガクっと落ちそうなので、オートバイを買いたいと思っているのに、いつまでもオートバイは買わず、雑誌だけを講読し続けることの方が、国内2輪専門誌にとっても良いことなのかもしれない。

 もちろん、これは一流の皮肉だが、国内2輪専門誌は、読者が自分の売る雑誌を永遠に買い続けるように、絶えず刺激的な内容にしようと躍起になる。そして、次号も買ってもらおうと、読者にこびへつらい、無理に関心を沸きたてようとする。しかし、多くの読者は、雑誌というものがどこかおかしくなってきていると感じ始めている。

 「言いたいことは分った。しかし、俺達だって食っていかなきゃならないんだ」

 ライターやエディターはこう答えるかもしれない。彼らを突き動かしているものは、高潔な思想というよりかは、報酬に対する責任感であり、八百屋やスーパーと同じように、国内2輪専門誌とて、商売である以上は利益を追求しなければならないだろう。

 幸い、私の知人の草レーサー達は、この国内2輪専門誌が繰り広げる利潤競争に巻き込まれていない。
 草レーサーがこの争いに巻き込まれれば、一時(いっとき)その草レーサーは注目されるが、失うものも多い。
 なぜならば、過去を観察すると、『バイカーズステーション』誌などが取材し取り上げた草レースは、ほとんど全てショップワークスが独占し、草レースという表現は、ただのお題目に成り下がってしまうことからもよく分かるだろう。
 しかし、幸いにも、私を含め、私の知人の草レーサー達は、今だに世捨て人であり続けているようである。
 そして、国内2輪専門誌を愛読する人達の常識は、我々世捨て人にとっての非常識だが、ようするに国内2輪専門誌を読んだからと言って、事情通にはなれないし、逆説的には、国内2輪専門誌を読むのをやめたからと言って、突然無知になったりもしないのである。
 否、『ライダースクラブ』誌などは、それを読めば、むしろ正しい知識を得ることに対して足かせにすらなりかねない。

 国内2輪専門誌を全て読めば、全知全能になれると思っている人には気の毒だが、例えば、あらゆる雑誌のテスト記事などを比較し、最高だと思えるオートバイを買って、サーキットにやって来たビギナーライダーならば、自分がいかに無知だったかということが分かると思うし、我々世捨て人の常識も即座に理解することが出来るだろう。

 しかし、そうは言っても、サーキットにやって来れば、本で得た知識で頭でっかちになった人の常識を吹っ飛ばす草レーサーが少なからずいるというのに、多くのライダーは雑誌が書いた批評だけを読んで満足する。あまつさえ、それが真実だと信じ込んだりもする。(この愚か者!)
 しかし、面白いことに、こうしたことに対し、私を含めた世捨て人の草レーサーは、憤りを感じるどころか、それを歓迎しているフシもある。
 つまりは、国内2輪専門誌の内容を信じきってしまう人は、失敗を運命づけられている。マイナーな草レーサーとしては、敵は少ない方がいいし、敵はバカな方がいいし、敵とは正面から争わないことも大変重要である。

 キタリン万歳!
 彼は独自の判断基準にて、ピットクルーが必要なメジャーなレースには出ないし、弱い競争相手を選ぶ天才でもある。
 頭でっかちな人カモン! レッドスネークカモンカモン!(古っ)
 特に、180馬力位あるオートバイで、トミンサーキットの最終コーナーを18馬力位で立ち上がる人大歓迎!
 成松君、君のことだよ。(笑)

 雑誌熟読者とスーパースポーツ車とのセックスが死産に終わることは、これを読む皆さんにとっても、最高に愉快な出来事だろう。
 しかし、成松君にとって良いニュースは、オートバイ(05GSX-R1000)が納車された後は、雑誌を無視して、ひたすら走ることに専念すれば、本当のオートバイの楽しさを知ることができるということである。
 もちろん、そうなったら私にとっても手強い相手なので、その時には『ライダースクラブ』誌を与えて混乱させるとしよう。そうしよう。大人は汚いのだ。(笑)

 自らの優位性を確保する為にも、株式投資におけるテクニカル分析関連書と、『ライダースクラブ』誌は、私にとっては、なくてはならない大切な本である。これらの本の存在が、どれだけ私の安眠に役立っているか分らない。これらの本の存在に対しては、本当に心底感謝したいと思う。




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