Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


晒された私 2005年8月13日 18:28

 今週は、相対的な面白い出来事が2つあった。
 まず1つ目のストーリーは、“名無し”さんという大変親切な方より、『電車男』の生誕の地としてかの有名な、『2ちゃんねる』という匿名掲示板にて、私が晒されているとチンコロ(密告)が入ったことである。ちなみに、私は当初、「晒されている」(さらされている)という漢字が読めなかったが、辞書で調べてこの漢字を読むことができた。
 そして、もしかしたら近づくと噛み付かれるのではないかと心配しながら、この『2ちゃんねる』をのぞいてみると、確かに私のことが話題になっていた。
 どうも、そこに集まる方々は、ベ○タリアンを自称している私となんとかして議論したいようだった。それだけでなく、明日に私が企画していたベ○タリアン同士のオフ会にやってきてまで、私と議論したいとのことだったが、私のほうが御遠慮したかったので、(なんでほのぼの楽しく会食したいのに、議論などしなくちゃなんねーのだ!)オフ会の開催場所の変更を余儀なくされてしまった。まったく、インターネットというのは、便利なんだか不便なんだかよく分からないツールといった気分である。

 私の考えでは、世の中に絶対的な真理などないと思われるので、私自身の発言や信念など、子供のたわごとみたいなものだし、私は皆さんの“食べる権利”に対してとやかく言うつもりはないというのに、どうやら一部の人は、私のことを“肉食反対派”と断定して、徹底的に攻撃したいようだった。やれやれ…。ところで、こうした人達は、仮に私のことを完膚なまでに論破した後は、勝ち誇った気分になって、酒がうまくなったりするのだろうか? もしそうならば、私は最初っから白旗を上げるので、今からうまい酒を飲んで頂きたいと思う。ボンベイサファイアとチンザノで作ったマティーニなんかどうだい?

 さて、もう1つのストーリーは、昨日、『ホットチョコカップ』という草レースを主催する、かの有名なエリさんから電話がかかってきたことである。ちなみにエリさんは、先週の金曜日は、エビスサーキットにて、『ホットチョコカップ』を開催したとのことだったが、私はエビスサーキットに行ったことがないので、エビスサーキットについて私はエリさんから色々と教えてもらった。(エリさんどうもありがとう)また、袖ヶ浦にサーキットができるらしいとの情報も教えて頂いた。また、もし本庄サーキットでイベントをやることになったら、お互いに情報交換しようとも話しあった。
 そして、少し前に、同じく『バトルトップ』という名の草レースを主催する大野氏から、私にも何かイベントをやれと激励されたことに引き続き、エリさんからも、何かイベントをやるようにと激励された。
 以前のロムシー参加者からイベントの開催を嘆願されるだけでなく、こうした他の草レースの主催者からまでイベントの開催を薦められるとは、非常に光栄な話だが、ロムシーを開催している時には、よく参加者の方より、あまり草レースが増えて、日程がバッティングすると、草レース同士で参加者を食い合うことになるのではないか? といった質問を受けることがあった。たしかにそうした一面もあると思うのだが、大野氏やエリさんは、果たしてライバルの出現に対して寛大なのだろうか? もちろん、『2ちゃんねる』に晒されるような暗愚な私に比べれば、御二方(おふたかた)は人間的に素晴らしい人物なのだと思われるが、草レース同士でパイを奪い合っているというのは、事実のある一面を誇張した分析であり、まるで資本主義社会を弱肉強食の世界として断定するかのようでもある。
 そう、自然界や、あるいはビジネスの世界においても、弱肉強食だけではなく、“相互扶助”によって生存を保っている例も多いのだ。これをビジネス用語では、“戦略的同盟”と呼ぶ。

 例えば、競合する運送会社の帰りの便のトラックを使って荷物を運ぶことを競合会社同士で契約して、お互いの運送コストを下げたりといった例が実際にある。
 自然界においても、大きな木に住む異なる種類の鳥が、片方は上のほうに住み、片方は下の方に住むことで棲み分けがあったり、また、ビジネスの世界においても、同じ土俵で闘っているように見えて、ハーレーとドカではユーザーの棲み分けがあることなどである。(日本のメーカーはアホなので競合することが好きである)

 もちろん失敗例もある。
 それはスズキとカワサキの提携である。スズキとカワサキは、提携してグラフィックと名前を変えて同じオートバイを売るという愚行を犯し、今のところ目覚しい失敗となっている。理由。同じものを売っているからである。
 そう、仮に我々草レースの主催者がレースを開催したとしても、主催者のカラーと参加者のカラーが異なるので、微妙な棲み分けが起こり、むしろそのことで別の強力なライバルに対して打撃を与えることができるのである。そう、その相手とは、漂白された、骨抜きの、おとといきやがれ方式のMFJである。
 つまり、草レースの参加者は、自分のカラーに合ったレースをセレクトできるという魅力を優先し、メジャーなレースへの興味を失うのである。
 つまり、ある決まったパイを草レース同士で食い合うというよりも、むしろ、より一層メジャーなレースのレース人口から参加者を奪うことができるというのが、私の考えであり、エリさんに対しては、2002年に1番最初に送ったメールにて、そのことを知らせていた。
 つまり、私と他の草レースの主催者は、“競合的同盟”といった感じで、私とメジャーなレースの主催者は、我が国のモーターサイクルスポーツの発展を高めるという意味では、“同盟的競合”と言える。
 つまり、色々と言ってはいるものの、マイナー、メジャーに関わらず、我々はモーターサイクルスポーツの発展を心底願っている共通の友な訳だ。

 さてさて、話を元に戻して、平和を表現しようとベジタリアン(おっと、“ジ”を“○”にしておくのを忘れてしまった)を自称すると、一部の人の攻撃性を増加させ、平和が遠のいてしまうが、ロードレースという名のストレートに競争心をあおった世界の住人の方達は、極めて平和的に物事を考えられるというのが、今週に私が味わった皮肉なパラドックスである。
 恐らく前者は、自分の主権が犯されそうになるという気分の悪さに対する反発から盲目的となり、後者は、自分の主権を守るという視点から競合する者に対して寛大になれるのだろう。
 別の言い方をすれば、前者は不毛な争いをこよなく愛し、後者は争いを意義あるものにしたいのだろう。




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