Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


メルセデスの功罪 2005年9月29日 17:55

 業績不振のメルセデスが、8500人のリストラを発表したようだ。
 ではなぜ、メルセデスが業績不振に陥ったのかを考察してみよう。

 えっ? 何々? 言われなくても大体予想がつくって? そう、あなたが予想したように、私が何かモノを書く時には、大抵は多悪化のお話である。
 では続けよう。ベンツのユルゲン・シュレンプは、他社に対して競争力をつける為には、高級車と大衆車を作る会社を合体させて、部品を共通化し、開発コストを抑えることが必要だと考えた。
 結果、ダイムラー・クライスラーが出来た。終わりの始まりである。
 これまで高級車を作っていたドイツの高慢ちきなエンジニアは、早速デトロイトのエンジニアを見下した。この2人が生み出した結果は、死産だった。
 周りの関係者はいっせいにダイムラー・クライスラーを非難した。そしてシュレンプは、ダイムラー・クライスラーを再建することにした。

 うまくいったのだろうか?

 この、元々他人の意見など聞く習慣のない男の再建策とは、幹部を更迭して、新しい奥さんを片腕にすることだった。バカげている。
 ベンツは、品質に関する調査で、日本車どころかジャガーにも負け、時にはリンカーンやキャデラックにまで負けるようになった。こうしてメルセデスのブランドバリューも損なわれた。

 面白くなってきたので、今度はダイムラーに買収されたクライスラーのお話もしよう。

 クライスラーが大昔に窮地に立っていた頃、クライスラーを救済したのが、かの有名なリー・アイアコッカだった。
 アイアコッカは、まるでニッサンにやってきたキツネ目の男のルーツのように、素晴らしい経営手腕を発揮し、クライスラーを復活させ、書いた本はベストセラーになった。
 そして、色々な人達に賞賛され、勢い余って、自由の女神の改修の指揮までとるようになり、議会の予算削減の委員にもなり、イタリアに別荘を買い、ワインとオリーブオイルの醸造まで始めた。
 成功して色気が出たアイアコッカは、サーキットにもよくいるただのイタリア好きになった。
 そして、マセラッティとの合弁事業を始めようとしたが、失敗した。多悪化だからだ。
 その後、クライスラーは苦境に陥り、ダイムラーの傘下に入ることとなった。
 そう、人は成功すると傲慢になり、そして失敗するのだ。

 これを読む女性読者に助言すれば、もしあなたの彼氏が少しお金を儲けて小金持ちになった場合、自宅にイタリア車の専門誌が置かれていたならば、別の男の物色を始めたほうが良い。成功した男がイタリアにかぶれると、アイアコッカのような運命をたどる可能性が高いからだ。
 では、注意すべき言動も記しておこう。

 「イタリアの製品はデザインが素晴らしい」
 「僕には元々ラテンの血が流れているんだ」
 「リストランテに行かないか?」

 こんな言動が現れ始めたら、無駄遣いが始まったと考えて良い。しばらくはおごってもらい、消費者金融のATMに日参するようになったら別れよう。(サーキット野郎だけではなく、女性をもダークサイドに誘うようになってしまった…)

 え〜と、いつものことだが、話が脱線してしまった。
 そうそう、このダイムラー・クライスラーの、部品の共通化で思い出されることはないだろうか? そう、それはスズキとカワサキの提携である。
 この2つのメーカーは、部品どころか、車体を共通化してしまい、ステッカーと名前だけ変えて販売している。バカげている。
 この2つのメーカーにしてみれば、先を行く2人の巨人、つまりはホンダとヤマハに追従する為に考え出したストーリーなのかもしれないが、こんなことをすれば、益々自社のブランドバリューを下げ、前を行く巨人が逃げていくだけである。
 スズキとカワサキは、まず真っ先に業務提携を解消すべきである。トップがイタリアにかぶれる前に、である。

 さ〜てと、女にモテる為にドゥカティでも買うかな。国産車なんてダサいよ。え〜と、それからアリタリアカラーのランチャ・ストラトスも買って、カウ・スペースの牛山さんのとこに自慢しに行こう。(ここだけの話、カウ・スペースの牛山さんは、絶対にランチャ・ストラトスが好きである)

カウ・スペースさんのHP




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