Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


知覚
2009年3月1日 16:32

カワサキ、新チームを発足

 「男に二言はない」というのは使い古されたフレーズだが、カワサキに二言はあった。漢(おとこ)カワサキにはあった。

 カワサキは、金がなくなったことで、motoGPから名誉ある撤退をはかったが、その後、ドルナに脅され、不名誉なmotoGPの復活をしたことで、まともなレースを行うチームの金魚のフン役を自ら買って出ることになった。これまで以上に。

 ロードレースというのは、シンプルに語れば“勝負の世界”である。勝負の世界で勝つ秘訣とは、自分が望んだ試合に参加することであり、他人が望む試合に参加すると、勝つ確率は低くなる。従って、ロードレースに関わらず、勝負の世界について少しは知っている男であれば、カワサキの決断は、今時の女性よりも決断力がない女々しいものだということが一目瞭然だが、そんなカワサキに対するメーカーのイメージは、現在も「武骨な男らしさ」となっている。

★コックリさん
 以前、私は『特命リサーチ200X』というテレビ番組にて、“コックリさん”がテーマだったのを見たことがあるが、最近日テレにて、この特命リサーチ200Xをドラマ仕立てにた、『キイナ 〜不可能犯罪捜査官〜』という番組で、再びこのコックリさんがネタとなっていたので、コックリさんの良い復習になった。ちなみに、コックリさんで、勝手に手が動く現象は、“不覚筋動”と呼ばれているが、ようするに潜在意識が働いて、勝手に手が動くということらしい。

 えっ? 何々? それとカワサキに何の関係があるのかって? いやいや、カワサキなど、メーカーの姿勢としては、全く男らしくないし、むしろ女々しさが浮き彫りとなっているのに、なぜ、毎年明石市に巡礼してカワサキの販売店に対してお布施まで支払ってしまうカワ信者は、カワサキの魅力を「武骨な男らしさ」などと臆面もなく語ってしまうのか、まるでコックリさんの不覚筋動と似てはいないかと、キイナを観てふと思っただけである。

★血液型性格分類

血液型性格分類のウィキペディア

 ところで、皆さんは血液型性格分類を信じているだろうか? ウィキペディアによれば、血液型と性格に相関はないそうだが、多くの日本人が未だに血液型性格分類を信じているのは何故だろうか? 私の勝手な想像だが、A型は几帳面で神経質という一般論は、“A”というアルファベットが、カクカクしていて上がとがっているので、何やら神経質そうなイメージで、“O”というアルファベットは、文字通りおおらかなイメージで、ABというのは、AとBが両方混じってるので、二重人格=変わった人というイメージになり、B型だけは、消去法だったのかもしれないが(笑)、特別イメージが当てはめにくかったので、“ワガママ”というイメージがピッタリだったのではないかと思う。(笑)

 こうして、血液型性格分類は、繰り返されるブレーン・ウォッシュ(洗脳)により、多くの日本人が信じるに至った訳だが、そういう私自身、少し前までは血液型性格分類を信じていた。特に、私自身はA型で、若い頃はたしかに神経質で几帳面なところが多かったので、血液型性格分類を信じるに至る十分な証拠を自ら有していたのだが、社会に出て、几帳面で時間をしっかり守るB型やO型の人に出会ったり、信じられないほどいい加減な性格のA型の人に出会ったり、また、私自身がオヤジ入ったことで、だんだん性格がいい加減になり、几帳面さや神経質さが影をひそめ、血液型性格分類が信じられなくなるような証拠も多く発見するに至ったところ、タイミングよく、医者や科学者は誰も血液型性格分類を信じていないということを知り、すでにウィキペディアにまでそう書かれているので、今となっては、ウィキの血液型性格分類の中に書かれていた、「『血液型』は今や経済的価値を生み出すコンテンツの一種となっており、無数の関連商品及びソフトが市場に流通している」という部分の方に関心が移行している。

★オートバイメーカー
 オートバイのメーカーに対するライダーのイメージも、血液型性格分類と似たところがあり、ライダー達が不覚にもそのイメージに従って自らの購買行動を決定するのは、文字通りコックリさんの不覚筋動に似ている。

 すなわち、ホンダはデカいメーカーで部品の供給とかが安心(そう)なので万人向け及びビギナー向けで、ヤマハはデサインがいいのでカタカナ職業や美容師向けで、カワサキは武骨な男らしさがあるので不良っぽいライダー向けで、消去法でスズキを選ぶのは変態、と。(血液型でもバイクメーカーの選択でも、必ず差別主義的なガス抜きの役割が必要となるようだ)

 例えば、個別にバイクを見た場合、日本のバイクメーカーに対するイメージが固まっていないような、どこかの外国人に対して、ヤマハのV-MAXと、カワサキのER-6fを見せて、「武骨な男らしさのあるバイクはどっち?」と聞けば、多くの人はV-MAXと答えるだろう。しかし、日本在住のカワ信者が武骨な男らしさを求めてV-MAXを買うことはまずない。

 これが、消費者の知覚であり、motoGP復活という女々しい決断をしてこの知覚に逆らったことで、カワサキは自らが失ったものに気付いていない。

 もはや、多くのライダー達は、カワサキの取った行動に対して、「金がなくなったのでシッポ巻いて逃げたら青い目に脅されたので戻ってきた」とイメージしており、カワサキのブランドバリューは、武骨な男らしさどころか、女々しさの象徴となりそうなものだが、“いい加減なA型”とか“几帳面なO型”とか“最強の国内仕様”といったように、“女々しいカワサキ”という逆説的比喩は、多くの人達の認知的不協和の抵抗により帳消しになり、今後もカワサキのブランドバリューは保たれることだろう。かろうじて数年。

 しかし、レースなどに参加しなくても金を儲けることが出来るハーレーという良いお手本があるというのに、レースの結果も残せず死期も迫ってきている自らのブランドバリューに泥をかけるカワサキの愚行により、今後、血液型性格分類の信憑性と歩を同じくして、このままではカワサキのブランドイメージは失墜していくことだろう。

 私が思うに、カワサキはmotoGPに復活したりER-6fといった女々しいバイクを作っているヒマがあれば、4発大排気量のターボ車で300馬力とかのバイクを作って、消費者の知覚にとっとと応えるべきだと思う。また、壊れないバイクを壊す工夫が大好きな人達も、それを心底望んでいることだろう。

 もはやカワサキにとって必要なことは、「A型の人は絶対に几帳面というのはウソだ!(レースで速いのはホンダやヤマハだけではない!)」と声高に叫ぶことではなく、血液型で儲けた人達に対する研究であり、消費者の知覚に抵抗せず、消費者の知覚に従うことで、カワサキは川下に向かって泳ぐべきである。

 また、もしそれがイヤで、やりたい放題やりたいのであれば、上場は廃止して、例え採算に合わなくても、数千万円かけて戦地に戦車の取材に行ってしまうような、株主の顔色をうかがう必要のない上場していない田宮模型のような企業になりなさい。

 ただし断わっておくが、さすがの田宮模型だって、金を無駄遣いするのは企業の“こだわり”が原因であり、理念なき君達と違って、リカちゃん人形は作らないのだよ。絶対に作らないのだよ。




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