Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


資本主義への回帰 2004年12月17日 20:51

 「ライセンス免許不要! オートバイであれば何でもアリ!」

 これは、10年前であれば、トレンドを生み出すに当たって充分なロムシーのブランドバリューだった…。

 しかし、6年もの歳月をあけて2002年に那須mslでロムシーを復活させた際には、少し事情が変わっていた。
 そう、“何でもアリ”の部分にケチをつけたのは、160馬力以上のパワーを発生するハイパースポーツ車の登場に対する、安全上の私の危惧である。
 そして2003年からは、私は自分がトレンドを作るのではなく、時代のトレンドに迎合してしまった。
 つまりロムシーは、荷馬車が馬をひっぱることになったのである。

 それでも私は、ロムシーを開催するに当たって知り合った参加者の皆さんとの交流が楽しかった。
 私はこの楽しさを持続させる為に、2003年には走行会を含めて、8回ものイベントを開催した。
 しかし、自分の楽しさを優先したツケが回ってきたのか、ロムシーは参加者のレベルアップに伴い、“ジリ貧”になっていった。
 10年前であれば、ロムシーは気軽に参加できる敷居の低さが特徴だったが、インターネットにて第三者のイメージをリサーチすると、現在のロムシーは、「今すぐ出たいレース」ではなく、「“いつかは”出たいレース」になってしまっていた。
 恐らく参加者のレベルの上昇が災ったのだろう。(誤解を避ければ、参加者の皆さんには罪はない。これはレースにおける常識的な側面である)

 そして私は、気軽な草レースを演出する意味でも、それまでの平日開催に対して、土日開催を実施して、参加者を増やさなければ、採算すら合わないと考え、2004年の初戦は、土曜日に開催することを宣伝したが、皆さん御存知のように、私は広げた大風呂敷を現実のものに出来なかった。
 つまり私の力量では、土曜日に那須mslを1日貸し切ってレースを開催することは、砂の上に家を建てるようなものだったのである。

 私は自らの愚行に対して自省し、しばらくは静かにしていたが、北山さんや、稲葉さん、荒木さん、大久保さん、スピード☆スターの水口さんなどからロムシーの復活を嘆願され、11年振りに乗ったオートバイである、GSX-R400が壊れたことをキッカケに、今度は再び自分の身丈に合ったレースを、10月と12月に復活させた。そう、ロムシーの復活は、いつでも思いがけない恋のようだ。

 私は久々に開催したロムシーを心底楽しんだが、改めて“小さくまとまる”ことの有意義に気付いた。
 しかし、私は同時に別のことに対する危惧も抱いていた。それは、参加者のスピードとコストである。
 私の願いとしては、参加者の皆さんに、日常生活でのストレスをロムシーで発散して頂きたいと思っていたが、その為のコストが膨大すぎて、参加者の皆さんは別のストレスも抱えてしまうような気がしていた。なぜならば、参加者の皆さんは、誰もベンツでサーキットにはやって来ないし、誰も手首にロレックスをはめていなかったからである。(ドゥカティカップならば、銀座のクラブに行くかのように、参加者に無駄な金を使わせた方が、参加者も喜ぶことだろう)
 私はサーキットに行くたびに、次の言葉が脳裏をよぎるようになった。

 「昔は良かった…」

 しかし、それを口にした途端に、私は年寄りじみた懐古主義者になってしまうような気がした。しかし、日記ならば、こうした告白も許されるだろう。

 ああ、もう250や400のカテゴリーは無くなるのだろう…。サーキットで走らせるオートバイは、NSR50やエイプなどのミニバイクと、600や1000のハイパースポーツ車の両極端なオートバイの二者択一になるのだろう。参加者の気分に対して、理論が勝ちすぎている、MFJのGPmonoは失敗するだろう。(MFJは、まるでゆっくりと沈んでいくタイタニックのようだ)

 では、私に出来ることは何だろうか? それは、本業に集中し、とにかく今は金を稼ぐことだろう。来年発足予定のミステリーサークルの為にも…。(笑)

 という訳で、ここの所は必死で働くアーブ山口でした。日記というのは、こんな調子でいいのかい?




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