Erv's Letters index | Text by Erv Yamaguchi |
コンテンツとしての魅力 2005年10月16日 18:21 インターネットは、20世紀における最高の発明だと思う。多くのインターネットの住人も、そう思っていることだろう。 しかし、それで有頂天になってはいけない。 ところが、六本木ヒルズに住む成功者達は、何かしたくてたまらずウズウズしているように感じてしまう。 しかし皮肉なことに、すでに大昔の経済学者である、ジョン・メイナード・ケインズはいみじくも次のように語っていた。「型にはまらず成功するより、型どおりに失敗するほうが評判は高まるものだ」と。 六本木ヒルズに住む成功者達は、評判が高まることを利用しているフシがあるように私は感じてしまう。 特にホリエモン氏は、球団の買収は失敗し、日本放送の買収も当初の目標を達成したとは思えず、選挙も実質的には敗北しているが、これらが全てパブリシティーに好影響を与えているようで、むしろ狙ってやっているのではと深読みしたくもなる。 インターネットと放送の融合など、実の所どうでもいいのかもしれない。“本人がその気だとしても”である。 話変わって、私は野球に関して全く興味がなく、ほとんど無知だが、テレビを見ていると、六本木ヒルズに住む成功者達がきっかけで、プロ野球に関する話題が多いので、それを見た私は、どうやら最近のプロ野球は、視聴率は低下し、どんどん客離れしているという印象を受けたが、アメリカ流に分析すると、アメリカにおいては、野球の人気が低下していった背景には、テレビの台頭があったようだ。 つまり、テレビが家庭に入ってくる前までは、野球は人気の高いスポーツだったが、テレビが家庭に入って普及してからは、よりテレビ向きなアメフトやバスケの人気が高まったという。 確かに、テレビの縦横比と、アメフトやバスケのコートは非常に合っている。 しかし、多くのモータースポーツファンに言わせれば、モータースポーツに比べれば、野球のほうが数倍マシに感じてしまうだろう。 そう、モータースポーツがなかなかメジャーにならないのは、モータースポーツがテレビ向きのコンテンツになりにくいからという要素が大きい。 あなただって、ロッシが独走している時に、実は下位集団が凄いバトルを展開していたとしても、それを見ることが出来ないテレビ中継に不満を持ったことがあるだろう。野球ならばピッチャーがバッターボックスに入ってもしっかり中継するのに、バイクのレースでは下位のライダーの走りを見ることはほとんどできない。(彼らがテレビに映るには、転倒する必要がある) しかし、なぜか多くのモータースポーツの専門家は、現状に対する不満はぼやくが、モータースポーツはテレビ向けのコンテンツではないという弱点について語ることはない。理由。天に向かってツバする行為だからだ。 では一体どうすればいいのだろうか? サーキットを長方形に設計することだろうか? たしかに、それで人気を高めているのが、インディ500だ。しかし、世の中の全てのモータースポーツをオーバルトラックに押し込める訳にはいかないだろう。 では、よく分からないので、もっと根本的な比較もしてみよう。 野球においては、ハードが重視されることはほとんどない。そこにあるのは、人と人との純粋な技術の競い合いである。分かりやすく言えば、ファンはグラブやバットには興味がない。 他方、モータースポーツというスポーツは、人と人との純粋な技術の競い合いを楽しむファンは、かなりマニアックなファンで、最初のとっかかりは、多くの場合はハードに対する興味である。つまり、モーターサイクルスポーツで言えば、ライダーが好きになって応援するという要素と、バイクに興味があったり、自分の好きなメーカーを応援したりといった要素とがある。 また、野球の場合は、ファンの形成は、多くの場合地域密着型である。しかし、モータースポーツの場合は、名古屋の人はトヨタを応援とかは多少はあると思われるが、野球に比べれば地域性はあまりない。 テレビを見ていると、野球チームのファンは、球団が売ったり買われたり合併されたりすると、気分を害すようだった。恐らくこれは、前述の地域密着と関係があるのだろう。 しかし、モータースポーツは、メーカー同士の争いであり、例えばドゥカティなどはしょっちゅう売り買いされているが、買った人はブランドバリューを目的に買収し、結果、ブランド名が変わることがないので、ファンがガタガタ言うこともない。もっと言えば、ドゥカティファンは、オーナーが変わったことなど知らないことの方が多い。 こうして考えると、野球などよりかは、モータースポーツの方がコンテンツとしては、地域密着ではなく、全国的なので適しているように感じてしまうが、六本木ヒルズの成功者の中には、まだモータースポーツ好きがいないということなのだろう。 もしこれを読むあなたが、インターネットビジネスで成功し、文字通り金が腐るほど出来たなら、財団法人ではなく、“ビジネス”として、プロの賞金レースの主催をはじめて、コンテンツとして、全国にレースの模様を配信し、契約金ではなく、賞金でメシを食うライダーを現実に出現させ、若い人達のハングリー精神を養いつつ、それすらネタにして自らも金を稼いで頂きたいと思う。 モータースポーツ界の重鎮も、「そんなことは許さない」などとは言わず、「是非お願いします(はあと)」と、心から嘆願することだろう。 ちなみに、今回、楽天がTBSの株の取得に費やした費用は、880億円とのことだが、ツインリンク茂木の建設費は、400億円から600億円とも言われている。凄い金額である。しかし、全長1〜2キロ程度のミニサーキットの建設ならば、5億円程度で済むという。また、中古の那須mslならば、3億円くらいで買えるだろう。 楽天やライブドアがテレビ局をターゲットにするのは、テレビ局がドラマなどの制作能力があり、自分達にはそれがないからだと言うが、野球などのスポーツや、もちろんモータースポーツも、それは“筋書きのないドラマ”であり、ドラマ制作費は、レースでは運営費がその役割を担うのだろう。そう考えると、財団法人のMFJを、民間企業が買収するという選択肢はないので、新しい民間企業を立ち上げるか、MFJが民営化されるかだが、現実的には厳しいラインだ。つまり、お先真っ暗だ。 MFJがあと10年で手持ちの資金を食いつぶし、ジリ貧になった場合、我が国のモーターサイクルスポーツは、100億年後に太陽が燃え尽きた時の地球のように、死滅するのだろうか? 現在、空前のロードレースブームの時にはウハウハで稼いでいたライセンス収入は、どんどん減っていく一方であり、残高を増やす為にライセンス料を上げれば、加入者が減るという年金のような悪循環に実際に突入することが容易に想像もできるが、それに対して問題視する専門家もあまりいない。(悲観論者のレッテルをはられるのが怖いからだろう) 最近は、中高年の人達にバイクがよく売れているということで、サーキットを走る人達も、ある意味増えているのかもしれないが、そうした人達も、ライセンス料など必要もないような、ミニサーキットを走るだけで充分満足しているようなので、国際格式のコースでのサーキット人口を増やすには、根本的な解決策が必要だろう。 私の個人的な意見としては、600億円のサーキットはもう充分で、ミニサーキットが100個くらいできたほうが良いと思う。 恐らくそうなれば、ライダーだけではなく、レースの主催者としての才能を開花させる人も沢山現れるだろう。 最後に別の楽観論も述べれば、“日はまた昇る”ようなので、じゃぶじゃぶの現金を持った銀行は、今後、テレビ局買収の為の融資だけではなく、サーキット建設の為の融資も行いはじめることだろう。 これを読む、我が国のモータースポーツの発展に対して気概のある方は、ミニサーキットをじゃんじゃん作って頂きたいと切に思う。また、ミニサーキットは、映像を配信するに当たっても、非常に便利なので(ミニサーキットは、ファインダー内にコースが全部収まる可能性が高い)、コンテンツを欲しがるIT関連会社も、出来れば協力して頂きたいものだ。 ★日記ライクな追伸 昨日は、閉店後にお客さんと飲みに行き、カラオケにも行って、久々に歌も歌ったが、80年代の歌しか歌えないので、80年代ソングを歌う社会人サークルを作りたいと思ったが、森谷さんがアメリカ出張から帰ってきたら、一緒に松田聖子を歌うとしよう。 それと、yktさんのグースが、“悪趣味な”仕様で出来上がったとのことだが、私は自分のオートバイがないので、リファインさんの走行会までに自分のオートバイの入手が間に合うか心配だが、最悪はギャラリーとして参加して、yktさん夫妻を応援するとしよう。 yktさんの日記 ↓は、私が若い頃に作ったフレアーのSRX。 以前作ったオートバイ |
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