Erv's Letters index | Text by Erv Yamaguchi |
無視される持ち味 2005年11月13日 20:41 ライテクについて書かれた本は沢山ある。しかし、独自性について書かれた本は、ほとんど、ない。 私に言わせれば、独自性について論じなれば、ライテクの重要性を説いても無意味である。 この際、文章でメシを食う人間の話は一切無視して、実際にロードレースに参戦している人達の意見に耳を傾けてみよう。 彼らも、大切なのは「独自性だ」という。 仮にトップを走るライダーのマシンセッティングをそのまま盗み、自分のマシンに同じセッティングを施した所で、トップのライダーになれる訳ではないことを、彼らは良く知っている。金持ちはロレックスの時計をしてベンツに乗っているが、ロレックスの時計をしてベンツに乗っても金持ちになれない資本主義社会同様、ロードレースの世界はそんなに甘い世界ではないようだ。 私が考えるに、自分のマシンをセッティングするに当たって最初に必要なのは、独自性の分析である。他人の分析ではない。 だが、文章でメシを食う人達は、このテーマについて深く突っ込むことはなく、読者全員に対して、自分の教えは普遍的なものだと信じ込ませることに精を出す。茶番だ。 ところで皆さんは、学生時代に、体育の“高飛び”という授業を受けたことがあるだろうか? この高飛びの世界では、長い間、そう、1960年代までは、正面を向いたままで頭からバーに跳び込むスタイルが一般的だった。しかし、ある時、ディック・フォスベリーという若者が、体をひねって背中からバーを跳び越えてみせた。当時のタイム誌は、「今だかつて考案された中で、最も滑稽な跳び方」と書いた。誰もが彼をバカにした。又、一部では、公式の大会では、この跳び方を認めるべきではないという声まで上がった。 しかし、フォスベリーは、この“背面跳び”を続け、とうとうオリンピックまで制した。フォスベリーをバカにした者は、悔しかっただろう。 こんな話は、ほんの1例に過ぎない。オートバイのライディングスタイルにおいても、あなたは独自性を考えるべきである。ライバルの鼻をあかしたいのならば、自分のスタイルを確立すべきだ。 ロードレースの世界を観察していると、目先のタイムを上げることを口実にして、自分の長所を忘れた為に、転落していった数多い事例がある。 国内、国外を問わず、自分の長所を生かさずに勝ち続けたライダーは皆無である。 しかしである。独自性の必要は痛感しても、それを実践するのは難しいとあなたは言うかもしれない。 そうした条件反射こそが、日本的病巣と言われる、他者追随にほかならない。 サーキットを走るあなたにとって、最も大切な財産とは? イタリア車? ノー。 炭素繊維製の外装? ノー。 チタン製のボルト? ノー。 最も重要な財産は、あなたの持ち味である。 言いたいことは、これだけ、である。 えっ? 何々? ピヨピヨ走るのが自分の持ち味だって? あなたは私の友人だよ。(笑) ★ばっちさんへ アーブ後藤田が面白かったでした。(笑) かなりクリソツ(似ている)です。(爆) ばっちさんの走行会のレポート |
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