Erv's Letters index | Text by Erv Yamaguchi |
茂原ツインサーキット視察レポート 2006年3月19日 18:53 2004年の那須mslの閉鎖に伴い中止されたロムシーは、その後様々なサーキットを物色し復活も検討された。そして、茂原ツインサーキットもその候補の1つだったのだが、諸事情により、結局私はロムシーの復活は見送っていた。 しかし、3月18日(土)にて開催された茂原ツインサーキットのモトブレイクというスポーツ走行に、ロムシーの元参加者である、きたりんこと北山さんと、yktさんこと後藤田さんが参加するということで、私も彼らの意見を聞く為に、お忍びでサーキットの視察を行なった。 以下はその日のレポートである。 |
サーキットの名前が示すように、 お隣にはカート用の別のコースがあった。 ちなみに、 私が視察した日には、 大きなラジコンカーがスゲー勢いで走っているのかと思いきや、 未来のF−1ドライバーたるチビッ子達が、 チームアメリカ・ワールドポリスのような動きでカートを走らせていた。 チームアメリカは、 ちゃんと動くことができるのに、 観ている者を笑わせようとした“あえての”人形のような動きが特徴だが、 そのスピードからして、 こちらのチビッ子達は真剣なようだった。 |
サーキットに到着すると、約1年ぶりといった調子で、早速きたりんとお会いした。(相変らずきたりんは大きく、私は小さい) 実は、きたりんはこの日にCBR1000RRを走らせるのは久々だったようで、きたりんは最近モタード車を購入したらしく、最近はモタードにゾッコン惚れ込んでいる様子で、実際、私に対して、「自分の中ではロードレースは終わった」と語っていた。 恐らくその理由としては、ヘルパーの都合をつけることが困難な草レーサーにとって、ヘルパーを連れてくることを条件とするレースが多いことや、マイナーなロードレースが、じょじょにメジャー化していると感じていることが要因なのかもしれない。 話変わるが、大昔、そう、今から約20年前は、サーキットに集う若者には、金は無いが夢があった。 彼らはワークスマシンに乗ることや、ワークスライダーになることを目指して、ただひたすらにガムシャラに走った。 そして現在、ロードレースを取り巻く空気は変わった。 最高峰であるmotoGPは、イージーマネー・ユーフォリア(あぶく銭陶酔症)という名の病にかかった企業の政治の道具だということが、以前にも増して明らかになった。 そして現在では、自らが政治の道具になることを目指す者はほとんどいない。(コイズミ・チルドレンはのぞく)しかし、どのような世界においても、乗りかけた船に乗ってしまう者は存在するので、メジャーなロードレースの世界に足を踏み入れた者は、その間は全財産を豆乳を投入し、やがて力尽きた時には、この世界に背を向け、手にした国際ライセンスは、その後の人生の収入の増加には、ほとんど役に立たないことに気付くことになる。 こうしてロードレースの世界から足を洗ったライダー達は、自分は1%の成功者に対する、残りの99%だったということを認めざるを得ないが、それが勝負の世界なのだと自分を納得させるのである。 まさしく彼らは、「銀メダルを獲った」のではなく、「金メダルを獲り損ねた」のであり、これは一見、言っていることの内容は同じに感じるが、意味はまるで違うということを、ロードレースの世界に住まう住人達はよく知っている。彼らが選んだ世界は、参加することに意義はなく、勝つことにしか意義がない世界なのである。 これに対して、勝つことよりかは、参加することに意義があると考えられている、定職に就く者に用意された草レースという名のイベントは、相対的に人気を高めたようだが、勝負の世界である以上、コストとレベルの上昇から逃れることは出来なかった。私自身、それに対する証拠を目撃した証人だが、歴史を観察すると、我が国は、外国から輸入された鉄砲に対して、「飛び道具とは卑怯なり」という理由で、技術の進歩に対してノーを突きつけた類稀(たぐいまれ)な経歴の所有者である訳だが、草レースのメジャー化とは、きたりんにとっての鉄砲伝来と同義なのかもしれない。 そして私は、今後も鉄砲を嫌う人達をこよなく愛し続けることだろう。 |
↑は、スイングアームに取り付けられたきたりんのトランスポンダー。 ちなみに、きたりんは15分間という限られた短い走行時間を有効活用すべく、まるで要人を取り巻くSP(護衛)が、ピストルをすぐに取り出せるように常に上着の前ボタンを外しているかのように、ウォーミングアップラップを減少させることに貢献するタイヤウォーマーを利用していた。 |
また、コストをかけるべきところと、かけないところの差をつけるかのごとく、きたりんはおフランス製の格安のヘルメットを使用していた。ちなみに、↑のヘルメットは、ドライバーズスタンドがインポーターとなっているらしい。また、サイズは通常のMサイズが、Lサイズくらいの大きさになっているそうなので、頭が大きい方には特にお薦めだが、色々とガタガタコマケーことをほざくメジャーなレースでの規格はクリアーしていないようなので、草レースやスポーツ走行でしか車検というか、ヘルメット検は通らないようなので、購入される際は御注意して頂きたい。 話変わって、ロムシーステッカーが律儀である。(笑) |
最終コーナー立ち上がりでのきたりんとCBR1000RR。「路面がスリッピーなので、スライドを多用してもタイヤが減らないことが良い」と、ひょうひょうと語るきたりんは、実際、この最終コーナーにてスライドを多用して走行していた。 ちなみに、ウェイン・レイニーなどのダートトラック出身のアメリカン・ライダーは、左の開けてくコーナーが得意だが、同じスタイルの流れを組むと思われるきたりんも、左の開けてくコーナーである、この最終コーナーは気分が良かったのではないだろうか? また、いかにも走り込んでいる感じの常連のライダーの皆さんは、最終コーナーのコーナーリングスピードが非常に高かったが、彼らに対して、コーナーリングスピードがそれ程高くないきたりんが、いとも簡単に常連ライダーと互角以上に渡り合えてしまうのは、とりあえずハイパワーなマシンを購入し、立ち上がり重視のスタイルで走った方が、初めてのコースでのタイムアップや、競い合いでのパッシングに有利だという、きたりんの基本的な考えの具現化と言える。 しかし、誤解を避ける為に断っておけば、立ち上がり重視の走りをするライダーだけを持ち上げるのは不公平だというコーナーリングスピード重視のライダーを弁護する能力において、私はその為の遺伝子が不足しているようだ。 |
|