Erv's Letters index | Text by Erv Yamaguchi |
追悼 2006年12月31日 16:30 年末になり、岸田今日子さんや青島幸男氏やカンニング中島氏が、また、アメリカでは、ジェームス・ブラウン氏やジェラルド・R・フォード氏(第38代アメリカ合衆国大統領)などが亡くなった。また、不可抗力ではなく、人為的にサダム・フセイン氏も亡くなった。 こうして、多くの人達から愛されたり愛されなかった人が亡くなる一方で、ロードレースをこよなく愛す者達も、この年末に大切なものを失うこととなった。そう、『サイクルサウンズ』誌が今月で廃刊になったのである。(誌によれば、正確には休刊とのことだが、恐らく、退職前の有給休暇の消化と同義だろう) ちなみに、私は国内2輪専門誌の中で唯一読むに値していたテキストが、『サイクルサウンズ』誌のマイケル・スコット氏のレポートと、アラン・カスカート氏のレーサーの試乗記だったので、『サイクルサウンズ』誌の廃刊は、(想定はしていたものの)非常に残念に思う。 また、『サイクルサウンズ』誌は、24年間発行が続いたそうだが、これはそのまま、私がオートバイに乗った歴史とほとんど一致する。正に私は、『サイクルサウンズ』誌の情報を元に知識を蓄えてきたと言えるが、内容がマニアックなだけに、むしろ発行部数が伸びなかったというのが、皮肉な現実なのだろう。 たしかに、私自身のことを考えてみても、瞳を輝かせてバイクについて語っていた16歳当時に比べれば、最近はオートバイに乗るのは、年に数回の走行会のみとなってしまったし、たまにオートバイに乗った時にも、若き日のようなパワーもなく、ストレートに体力不足で、かと言って、体力を維持する為に毎日行なっている運動と言えば、朝の歯磨きくらいしか思い浮かばないような年齢にもなってしまった。このように、人間も老いていく訳なのだから、雑誌に寿命があるのもいた仕方のないことなのだろうが、『サイクルサウンズ』誌に対しては、私は心から御冥福をお祈りすると共に、感謝の意を捧げたいと思う。『サイクルサウンズ』誌よ、これまでどうもありがとう! ところで、我が国には、ロードレースに関する専門誌が、『サイクルサウンズ』誌以外にもあり、そちらはまだ亡くなっていないようだったので、久々にパラパラ見てみると、【寝言ポエマー】というチームから参戦しているライダーがモテている他は、相変らず別に面白い記事はなかった。しかし、よく見ると、雑誌が生き残る為のトレンドを取り入れているようで、まるで『ライダースクラブ』誌レベルで低俗なライテク関連の記事があった。そう言えば、以前『ライダースクラブ』誌に書かれていた、スーパースポーツ車に対するQ&Aみたいな記事をパクった際に、読者から大好評を頂いたので、この際、再び他人のフンドシで我がサイトの訪問者数を増加させてみよう。では以下には、『ライディングスポーツ』誌に掲載されていた誌上ステップアップレッスンというののパクリをご披露しよう。 今さら聞けない10の疑問(監修:アーブ山口) マシン編 Q:逆チェンジ(レーサーシフト)は何のため? A:逆シフトだろうと正シフトだろうと、キレた時のガードナーにはかなわないぞ。 と、HRCの技術者が言ったとか言わないとか…。 Q:サーキットを走るとき、サスは固め? 柔らかめ? A:♪固めのパーマで(パリツ!とオバサン)♪ ♪紫メッシュで(パリッ!とオバサン)♪ こちらで視聴できます。 Q:バックステップはレーシングマシンの証? A:誰かがバックステップを装着していたら、それはアフターパーツメーカーの儲けの証だよ。 Q:タイヤの空気圧は、なぜ下げるのだろうか A:セテ・ジベルノーのフィアンセ(婚約者)は、絶対に下げマンだよ。 ライテク編 Q:ヒザを擦らなければ速く走れない? A:金持ちはロレックスの時計をしてフェラーリに乗っているが、ロレックスの時計をしてフェラーリに乗っても金持ちにはなれないぞ。そして、もしチミが金持ちになりたいのならば、金持ちが今やっていることをマネるのではなく、金持ちが金持ちに“なる前に”やっていたことをマネしなさい。 Q:ブレーキングポイントを奥にすればタイムは詰まる? A:つまる所チミはアレだな。つまり単細胞だな。 Q:内足荷重でバイクは曲がるか? A:壁に激突したりすると、フロントフォークが曲がったりするぞ。あと、俺様のヘソは最初っから(以下略)。 Q:リアブレーキはいらない? A:せっかくついているものは、しっかり利用しなさい! この愚か者! つーかバカ! 5度死ね! えっ? 何々? アーブ山口のマネをして、すでに取っちゃったって? いいねブロ(ブラザーの略)。ハグ(抱擁の意)させておくれよ。XXOO(キスキスハグハグの意)。 Q:シフトアップのときにクラッチは使わないって本当? A:お給料をアップする為には、上司におべっかを使ったほうがいいぞ。 Q:アウトインアウトで走っても速く走れない! A:最後の質問だけクエッションマークがついていないけど、ひょっとして寝言? 私は、住んでいる場所柄か、国内2輪専門誌に関わらず、印刷媒体に関わる人を多く知人に持つが、現在、全てのジャンルにおいて、雑誌の発行部数は落ちている。もちろん、その原因を作っているのが、インターネットの存在であり、皮肉なことに、雑誌の発行に関わる者のぼやきとしては、『アサヒグラフ』のような、インターネットでは表現できず、雑誌でしか表現できないものを表現している雑誌が廃刊になり、「そんなものはネットで調べりゃいいだろ!」みたいな、テレビ番組関連の雑誌や『東京ウォーカー』みたいな雑誌が1番生き残っている。 私が予想するに、つまりは、雑誌でしか表現できないといった、ハイブロー(崇高)な記事や画像を提供しているという雑誌は、今後益々窮地に追い込まれ、ネットで調べればいいような、どうでもいい低俗な内容の雑誌が生き残ることだろう。そうした意味では、国内2輪専門誌に関しても、『ライダースクラブ』誌や『ライディングスポーツ』誌はまだまだ安泰と言える。 もちろん私のシナリオには、メーカーという名のパトロンが存在していることが前提なのだが、私の住む地域にも、パトロンのおかげで生きているという人種はウジャウジャいるので、国内2輪専門誌のエディターの皆さんも、別に恥ずかしがることなく、おめでたいメーカーから金をふんだくって、バカ正直にやってバカを見た『サイクルサウンズ』誌の死を教訓に、下劣で胸クソが悪くなる笑止千万なバカげた内容の記事を、不治の病を患った自らの命の延命の為に、今後も永続的に提供して頂きたいと思う。 よいお年を。 |
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