Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


アメリカのベンチャーとジャッキー・チェンのはざま
2009年2月12日 11:59

 以前から私は、「アクセルに対して“イチイチ”(1:1)でついてくる」とかついてこないとか、そんなことが評価の対象となり、ガチャガチャとあの気色の悪い感触のシフトアームを蹴ったりとか、スクーターなら簡単にレバーで操作できるリアブレーキが、クラッチのせいできたりんしか操作が出来ない右足で操作させるようなつくりだったりとかで、とにかく内燃機関を積んだバイクが心底嫌いだったので、とっととラジコンの電動カーみたく、スムーズに走る電気自動車や電動バイクを量産してくれと乙女チックに願っていたが、ここのところ『アーブの手紙』にてその想いをブチまけたところ、非常にタイムリーな調子にて、アメリカのベンチャーで有名なテスラ・モータースのエンジニアが中心となったミッションモータースが、今度はなんと2輪の電動バイクを発表した。

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 テレビなどで、ロータスのエリーゼをベースにした、テスラの電気自動車が走っている映像をご覧になった方も多いと思われるが、テスラの電気自動車は、今やアメリカのセレブには大人気で、36歳という若さのムスク会長は、近い内に六本木ヒルズにショールームをオープンすると息巻いている。

 つまり、ハイブリットを売り出すことが精一杯の国内自動車メーカーを出し抜いて、テスラ社が上場すれば、投資家の金が集まり、一気にベンチャーがこれまでの自動車産業の勢力図を塗り直す可能性もあるが、もう内燃機関は、インド人あたりが生産するもので、日本人が作っている場合ではなく、政府と日本の自動車メーカーは、電気自動車を実際に道路で走らせる為の電気スタンド等のインフラ整備を加速度的に進め、そのスタイルをグローバルスタンダードにしてしまうくらいの国家戦略を練って頂きたいと切に願う。

 かつて、日本には光ファイバーを全国に網羅した、情報ハイウェイ構想というものがあったが、当時の郵政省と通産省がこの案をぶっ潰し、当時日本にやってきたアル・ゴアが、こんなものを日本にやられてはたまらないと、自分の国に帰って技術者を集め、光ファイバーをアメリカ全土にひくのはリアリティーが薄かった為に、電話回線と当時の軍事テクノロジーを駆使して開発したのが、かの有名なインターネットだが、電気自動車の分野でも、今度はアメリカのベンチャーにしてやられそうな気がしてならない。

 日本には、情報ハイウェイ構想ならぬ、優秀なバッテリーの開発能力もモーターの開発能力もあると思われるのに、とにかく全てに渡って硬直化した日本の産業構造や国家戦略について考えると、日本国民として誠に悩ましい限りだが、頭にはアメリカのベンチャーがつかえ、尻にはインド人が食らい付き、間にはさまれた中途半端チックな日本のバイクは、一体どこへ向かうのか、向かいたいのだろうか。

 あるいは、これまで通り、自ら何かを作り出すよりかは、他人の猿マネを誰よりもうまくやる事で成長するべきなのかもしれないが、すでに猿マネは日本人の専売特許ではなく、インド人の特許になってしまったという昨今、グローバルに生き抜くには、日本人も独創性を持たざるを得ないだろう。




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