Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


やめよう信用取引
2009年7月10日 12:00

【円高】一時1ドル=91円台まで上昇し市況板が大パニック!!!!!
チヒロさんのTwitterより)

 えらいウケた。(笑)

 私は株も保有しているし、商売上、為替にも関わっているが、レバレッジを使った信用取引には絶対に手を出さないので、↑の掲示板の人達のようになることもなく、仕入れでドイツより50万円以上の請求がきた時に、ユーロが5円くらい安いと、「晩飯はちょっと贅沢するかな」と少し思う程度でしかない。

 また、株式投資においても、短期売買や信用取引は、それは投資ではなく“投機”だと考えているので、根本的に全く興味がない。

 しかし、もちろんこれは優等生的な発言であり、正直に告白すれば、私が実行しているバリューインベストメント(割安株投資)は、実のところ、短期売買を行う人がいるからこそ優位性がある訳で、例えば、マーケットが1年に1回しか開かれないとか、あるいは、法律で1年以内の株式の売買益には、100%の所得税がかかるということになった場合、短期売買で生計を立てる人がマーケットからいなくなり、長期投資家の私の優位性は減じてしまうことだろう。

★博打
 FX(外国為替証拠金取引)や、マーケット(株式市場)における短期売買を行っている方達は、非常にチャートを重視するが、明日値上がりすると思う株(あるいは通貨)を今日買い、明日値下がりすると思う株(あるいは通貨)を今日売るという行動は、ストレートに博打であり、このスタイルで胴元を負かすのは至難の業だと私は考えている。もちろん、中にはその道のプロのような人がいて、着実に利益を上げている人もいるかと思うが、素人が片手間にやるにしては、リスクが高すぎるし、少なくとも私は自分が勝つ自信がないので、絶対に手を出すことはない。

 ちなみに、マーケットにおいては、8割から9割のデイトレーダーが、実際には利回りがマイナスになっているようで、残りの1〜2割の利益を出しているデイトレーダーも、マーケットが開いている間は、PCのモニターに四六時中釘付けで、マーケットが開いていない間でも、翌日の為の情報収集であくせく働かなくてはいけないようで、以前テレビで、デイトレーダーでキチンと生計を立てていたが、サラリーマン時代よりもむしろ激務なので、利益を生んでいたにも関わらず、結局デイトレーダーはやめてしまったという人が紹介されていたのを見たこともある。これでは、楽して儲けるのとは反対に、むしろサラリーマンの方が楽だったという本末転倒な話だった。

★学ぶ場としてのマーケット
 割安株投資は、“効率的市場論”(株価は常に企業の内在価値を反映している)という頭が固い学者のロジックをスルーして儲ける手法だが、学者の意見を無視すれば素人でも儲けることが出来るというのが、私にとって大変魅力的だった。

 また、この資産運用版の“ウサギとカメ”のレースにおいては、強欲的に自分さえ儲かればそれで良いというスタンスでいるよりも、日頃は質素倹約的な生活をして、なけなしの小遣いを、自分が本当に応援したい企業なのに、誰からも無視されているという企業に対して“投資”して、その企業の株価を“買い支える”というスタイル、つまり、“1度決めたら迷わない”という、ある種頑固な手法の方が、強欲が渦巻くマーケットにて、むしろ着実に利益を上げられるというのも、私の性格に向いていたのかもしれない。

 しかし、こうやって株式投資のことばかり語っていると、まるで私が株で生計を立てている人だと思う方も多いかもしれないが、実際には、私は仮にフリーキャッシュフロー(自分が真に自由に使えるお金)があった歳には、まずは商売に投資した方が儲けが大きいので、株に関しては、本当に“お父さんのお小遣い”程度の金額を、毎月“プチ株つみたて”というのを使って、定期定額買いしているだけで、しかも“買ったら売らない”という長期投資のスタイルなので、仮に持ち株が値上がりしても、PER(株価収益率)が50倍とかにならない限りは持ち株を売らないので、値上がり益も絵に描いたモチでしかない。

 従って、私の投資の順番としては、“自分のビジネス”への投資がトッププライオリティー(最優先事項)であり、株は2番目に過ぎないが、私は自営業者なので、どちらかと言うと、株式投資を通じて、素晴らしい企業のマネージメントについて勉強になることの方が多く、素晴らしい企業と、そうでない企業のマネージメントから、自分のビジネスを見つめ直すことが出来るというのも、私が株式投資に興味が高い理由なのかもしれない。

★友人達
 私は株について語ることが多いので、私の話をキッカケにして、株式投資を始める友人知人が多い。

 そして、それらの人達は、自営業者ではなく普通のサラリーマンの方達も多いので、金があればほとんど商売に回してしまうという私と違い、割とまとまった貯金を持つそれらの人達の方が、株式投資に回す掛け金も大きく、むしろ私などよりも利益を沢山上げてしまう人が多い。

 しかし、私はそうした友人知人に対して、株式投資を始めるのはいいが、絶対に借金(信用取引)にだけは手を出してはいけないと、口をすっぱくして助言するようにしている。ましてや、仮に知り合いの奥さんとかが家に居ながらにして莫大な金額を儲けていても、絶対にFXなどにも手を出してはいけないと助言するようにしている。

 しかし、私の話をキッカケにして株式投資を始めた人達は、だんだんと自分で独学して、私よりもむしろ株式投資に詳しくなってしまい、最初の頃の私の助言である割安株投資という手法などすっかり忘れてしまい、中には信用取引に手を出してしまったという友人もいる。

 ちなみに、その友人は、ITバブルの頃から信用取引で儲け始め、かなり鼻息も荒かったので、私自身、私よりも儲けている人に対して、「信用取引はやめろ」とは言いづらくなってしまい、そのまま沈思していたのだが、かの有名なホリエモンショックの時に、思いっきり持ち株が値下がりすると同時に、恐怖の“おいしょう”(追加証拠金の俗称)がやってきて、更に悪いことは重なるもので、自営業者だった友人は、税務署から税金の追徴金の請求もきてしまい、調子が良かった頃とは裏原宿に、かなりボロボロになってしまったので、私は友人として、もっと強くクギを刺しておくべきだったと、後で苦々しい想いをしたことがある。

 従って、これを読む方達に対しても、仮に私の助言で株式投資を始めるのであれば、絶対に信用取引にだけは手を出してはいけないと、強く訴えておきたいと思う。

 絶対に、である。




「無知と借金が結びつくとき、その結果は非常に興味深いものとなります」

ウォーレン・バフェット


「ウォーレンも私も、信用取引で株式を買うなんて怖くてできない。反対売買をして決済するまでに何かが起これば、壊滅的な損失を被る可能性が、たとえわずかであっても存在するからだ。借金をするなら、返済期限を定めないのが理想だな」

チャーリー・マンガー(バフェットのパートナー)




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