Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


素晴らしいスズキの英断
2009年7月11日 16:10

スズキ、国内2輪営業を別会社化−機能集約し効率化

 スズキは国内2輪車営業部門を別会社化した。本社の2輪車営業部門と、子会社のスズキ二輪東日本(東京都葛飾区)、スズキ二輪西日本(大阪府茨木市)を新会社「スズキ二輪」(浜松市南区)に統合した。国内2輪車市場の低迷が続く中、営業機能を集約して効率化、収益体質の改善を急ぐ。
 スズキ二輪は社長に元常務役員で国内2輪営業を担当していた次広章氏が就任した。従来、スズキの2輪車営業は本社で全社的な出荷管理や販促企画を担当。スズキ東日本は中部以東、スズキ西日本が関西から九州地域を管轄し、2輪車の卸業務や販売店支援を行っていた。
 今回、スズキ二輪に営業機能を一本化することで、組織のスリム化と業務の効率化を図る。同社の2輪車事業は、2009年3月期に64億円の営業赤字となっており、今回の統合は黒字化に向けた取り組みの一環。
(掲載日 2009年07月09日)


 スズキが、2輪部門をスピンオフ(分社化)したようだ。これは、正にエクセレントな経営判断だと言える。

 ちなみに、スズキの2輪部門が64億円もの赤字を抱えていたことは、私は初めて知ったが、次期社長は、迷わず来年度は違約金を支払ってでも、motoGPから撤退するべきだろう。そうすれば、赤字の大半は帳消しにすることができる。(アドレスV125Gを買う人間がmotoGPの結果など気にすることはない)

 そして、SBKに関しては、GSX-Rシリーズを本気で売りたいのかどうか、新社長の判断に委ねたいと思うが、“負けない試合”を望むのであれば、もちろん撤退した方が経費削減になるし、テニスのプレイヤーが、ワザと1セット落して次のセットの戦略を考えるように、しばらくモーターサイクルスポーツからは距離を起き、アドレスなど売れるものをガンガン売ってから、2〜3年後にカムバックするという手もある。

★スピンオフ
 以前から私は、我が国のバイクにまつわる問題が解決しない根源的な理由は、我が国にはオートバイ専門のメーカーがないことだと指摘してきたが、新しい『スズキ二輪』という会社は、まだ大元のスズキの系列子会社になると思うので、完全にスズキと手を切った全く新しい会社とはならないことに不満はあるものの、そこまでの理想主義を持ちださないまでも、とりあえず4輪の会社と一定の距離を置くことが出来ることで、新しい会社の社長は、2輪だけのことを考えて経営に専念できるようになったことが大変素晴らしいと言える。

 とにもかくにも、コマケー戦略はともかく、スズキの2輪部門が、4輪部門の影響を受ける割合が減るという、今回のスズキの英断に対しては、諸手をあげて賛同したいと思う。スズキに拍手!

★解決してもらいたい駐輪場問題
 国内においては、スズキ車の中で一番の売れ筋は、間違いなくアドレスV125Gだと思われるが、原付2種の人気が特に高い都心部では、例の駐車違反の取り締まりにより、バイク人口が激減し、私の家の近所のスズキの販売店も閉店してしまったところもある。

 従って、新しいスズキ二輪の社長は、是非とも行政に働きかけて、2輪車の駐輪場問題の解決に全てのもの、そう、人、物、金を使って頂きたいと思う。

 ぶっちゃけて言えば、全日本のロードレースなどに無駄金使うくらいなら、スズキ二輪が駐輪場を経営する子会社を作ったり、パーク王を展開するバイク王の株主になって圧力をかけたりして、都内にガンガン駐輪場を建設した方が、アドレスもガンガン売れて、金が儲かれば、その後でロードレースに参戦した方が、むしろレースで勝つことも出来るだろう。金もないのに惰性でやっていて勝てる程ロードレースは甘くない。

 つまり、スズキ車に乗ってるスズキ党の人達が何と言おうが、赤字の時はまずは地に足がついたビジネスを優先すべきである。

★エマージング・マーケット
 ホンダやヤマハの2輪部門が好調だと言うのに、スズキの2輪部門が赤字というのは、まず間違いなく、エマージング・マーケット(新興市場)でのマーケティングでHYに遅れを取ったからだろう。

 スズキは、4輪に関しては、社長直々にインドには力を入れていたというのに、アジアに2輪を売り込むことに関して立ち遅れたのは、スズキの社長が4輪に力を入れていたという証拠であり、これこそが、2輪部門をスピンオフしていなかった弊害の表れだと言える。

 従って、新しいスズキ二輪の社長は、今度は自分が全ての決定権を握っているのだから、トッププライオリティー(最優先事項)的に、今後はアジアの国々へのバイクの販売に力を入れることが出来ることだろう。

★スポーツバイク
 また、メガスポーツやスーパースポーツに関しては、アジアで売る小排気量車や国内で売るアドレスと違って、利益率が高い分野なのだが、こちらはこちらで、欧米の景気回復に伴い、次第に売上も戻ってくるだろう。

 ちなみに、GSX-Rシリーズに関しては、レースで勝てないと売れないカテゴリーだが、GSX1300R隼に関しては、レースの成績はあまり関係ないので、こうした車種のマーケティングに対して注力した方が、早い話が楽して儲けることができるだろう。

 また、最近は中年ライダーのツーリングブームで、ライダーの人口分布としても、そうしたカテゴリーの比率が高まっているので、GSF1250やSV1000Sと言ったツーリング向けのバイクの販促に力を入れるのも良いだろう。

 という訳で、私はこれまで株式投資を通じて様々な企業を見てきたが、“起死回生シナリオ”から起死回生が生まれたことはほとんどなく、赤字から脱却するに当たって、何か奇をてらった新型車を開発してヒットを飛ばそうなどと考えるよりも、新しいスズキ二輪の社長は、永続的で安定的な収入源が得られる方法をまずは模索すべきで、間違っても、4輪の社長の思い付きで生まれたチョイノリのヒットと言った過去のバカげた栄光などは追いかけないで頂きたいと思う。

 チョイノリ…、アレは本当にひどかった。






 目黒郵便局のワキにて。

 SF映画とかで、ロボットが死ぬとこんな感じで目が飛び出していることが多い。




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