Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


衆議院の解散とネット献金初体験
2009年7月21日 20:44

 やっと解散した、衆議院が。

 ちなみに、テレビを見ていたら、解散前の自民党の懇談会にて、大村秀章が、「敵はあのポピュリズム政党の民主党だ!!!」と、いつもの大声で叫ぶことで、自分のことをタナにあげていた。

 皆さんも知っている通り、自民党の衆議院議員が今でも息をしているのは、4年前の郵政解散選挙にて、小泉純一郎のポピュリズムの恩恵を被ったからである。

 その自民党員が、今度は民主党をポピュリズム政党呼ばわりするのだから、笑止千万で片腹痛かった。

★ネット献金
 その後、私は自分の選挙区である東京5区で、4年前に投票したものの、ポピュリズムのおかげで自分の票が死票になってしまったという、当時投票した民主党の手塚よしお氏のHPを見てみたら、グローバルナビゲーションの1つに、『ネット献金』という項目があったので、手塚よしお氏の事務所に電話をしたら、電話に出た方はかなりハキハキとネット献金について教えてくれて、献金額が5000円以上だと確定申告の時に控除の対象になりそうだとのことだった。(正確には不明なので、必ず税務署で確認とのこと)

 ちなみに、ニューヨークに住む私の友人などは、選挙権もないのに、オバマに献金したと言っていて、ネット献金が進んでいるアメリカに対して、私はそれが羨ましくもあったが、手塚よしお氏の事務所の方が言うに、日本では、まだまだアメリカのような“ワンクリック献金”みたいなものは法律の壁が厚くて出来ないそうで、当然外国人の献金も認められていないという。(それを認めたらネットウヨさんとか大騒ぎだろう)

 そこで私は、むしろ民主党が政権取ったら、とっとと法律を改正して個人献金をやりやすくして、逆に企業献金なんて無くす方向にもっていってくれと頼んでおいたが、こうした声がどこまで届くのか分からないものの、電話をかければ聞いてくれる人がいるというのも、40年以上も生きてきて初めて気付いたという感じだ。

 という訳で、我が国に格差社会を持ち込んだ、筋金入りの新自由主義者の憎むべき自民党の佐藤ゆかりを落選させるに当たって、投票行動だけでは納得いかなかったのと、とっととアメリカ的に個人献金を普及させた方が良いということに対して自ら範を垂れるという意味で、税控除されそうな最少金額である5000円を、1回飲みに行ってチャンネーとかにおごったつもりで、人生経験の一環として生まれて初めて政治家に献金してみた。

 これを読む皆さんも、応援したい議員、あるいは応援したくない議員がいる場合はその対立候補とかに、投票だけでなく、ネット献金という手法を通じて支持する方法もあるようなので、御一考して頂きたい。

★ポピュリズム
 パフュームのポリリズムなどと違って、政治の世界におけるポピュリズムは大変やっかいで、4年前の衆議院選挙では、それが露骨に露呈された。

 これを読む方の中にも、メディアの偏向報道にすっかり騙され、4年前は自民党に投票してしまったという人も多いかもしれないが、当時の総理大臣である小泉純一郎は、「自民党をぶっ壊す」「聖域なき構造改革」などの、かの有名な“ワンフレーズポリティックス”をうまく選挙運動に利用した。

 そして、選挙の争点は「郵政民営化」1本に絞り、まるで踏み絵のごとく、郵政民営化に賛成か反対かを有権者に迫った。

 また、当時“時代の寵児”だったホリエモンなどは、広島の亀井静香の選挙区に乗り込み、「だって絶対郵政は民営化した方がいいでしょ?!」と亀井静香本人に迫ってみせた。

 更に、そうした様子が報道される中、細木数子という占い師は、テレビ番組の「自民党と民主党はどっちが勝つのか?」という問いに対して、「JRだってNTTだって民営化されたでしょ、郵政だって民営化されるのよ」と言い放った。

 この発言から細木数子という人物を観察すると、彼女がどういった人間なのか、2つの可能性が考えられた。

 まず1つ目は、彼女は正確に未来が分かる予言者だという分析。そしてもう1つの可能性としては、彼女は単にポピュリズムを敏感に察知しただけのホラ吹きだという分析である。

 しかし、結局、細木数子はしばらく経つと、他の占い師をよりよく見せるだけの存在に成り下がることになった。


政治家をゲストに迎えることがあるが、基本的に自民党議員しか共演しない。これは、細木が自民党を強く支持していることが大きく影響している。

細木数子のウィキペティアより

★電通マジック
 皆さんも知っているか、あるいは知らないかもしれないが、小泉純一郎にワンフレーズ・ポリティックスという手法をアドバイスしたのは、かの有名な大手広告代理店の電通である。

 もし皆さんが企業の広報なら、15秒間のCMで、色々と宣伝したいことは山ほどあると思うだろうが、そんな時に電通マン達は、「ワン・コマーシャルでワン・メッセージでなければ伝わらない」と助言するようで、アドバイスを受けた小泉もそれを悟ったらしい。

 つまり、小泉は、商品を売る広告テクニックを政治に利用したと言える。

 また、当時の小泉フィーバーを持ち上げたのは、主にテレビだが、ここにも電通の暗躍が見て取れる。

 また、電通と深い関係にある電波芸者の田原総一郎(奥さんの葬式の葬儀委員長は電通の社長・会長を歴任した成田豊)などは、今でも懲りずに自身の番組で小泉の構造改革マンセーの姿勢で、偏向報道が著しいが、田原の昔の著書などを読むと、田原も幼少期からしばらくは割と社会党の支持者だったようなのだが、私の個人的な感想では、奥さんが亡くなってから、特に政界との癒着による偏向報道がひどくなったような気がする。

 話を戻して、以前私は、電通であれば誰でもセレブに仕立て上げることが出来ると記述したことがあったが、いわゆる広告代理店の業界では、電通が寡占的な支配権を握っている。

 例えば、アメリカなどでは、1業種1社制というシステムとなっているので、例えばトヨタが電通なら、ホンダは博報堂という風に、必ずライバル社は広告代理店を変えるのが普通だが、日本においては、1業種多社制となっていて、ライバル会社同士の広告を、同じ広告代理店が制作するという、基本的に理不尽なシステムとなっている。

 しかし、こうした寡占状態に対して、本来なら公正取引委員会が取り締まるべきなのかもしれないが、電通があまりにも巨大化したモンスター代理店なので、公取も強く取り締まっても、逆に電通が手放した広告を処理できるような代理店が足りないということで、どうにも歯がゆい状態になっているようだ。

★影響力の低下
 私が今回の民主党の躍進を見て感じたのは、メディアが思ったほど自民党を擁護しない点だ。

 例えば、東国原なども、もっと電通が力を入れてヨイショすると予想していたのに、なぜかバッシングで終わってしまった。

 一体、4年前の電通のパワーはどこへ行ってしまったのだろう?

 理由は色々ある。まず、電通は2001年に上場してから迫力が無くなったという説だ。

 電通は、日本版CIAなどと揶揄され、長い間政財界と癒着して影の力を発揮し、この島国で1人勝ちしてきたが、上場して投資家から企業の透明性を求められるようになると、闇の仕事師みたいなことが出来なくなってきたようだ。

 また、単純に収益の柱であるテレビが、50年間の利益の時代を終えつつあることも原因にあるようだ。

 ちなみに、皆さんもご存じのように、TBSなどは、視聴率が2ケタに乗せることが難しくなってきたキー局だが、近い内に赤字が理由で倒産するテレビ局が出てくるかもしれない。

 なぜならば、赤字化の原因は山のようにあり、地上波デジタル化の費用、BS放送の莫大な赤字、多チャンネル化による媒体力の低下、番組の質的低下が招来する媒体価値低下、少子高齢化、人口減少、投下総労働量の縮小などなど。

 そして、BS放送によりチャンネル数が単純に2倍になれば、視聴率は2分の1になると言うのに、製作費は2倍となり、当然その分の広告費が必要にもなるというのに、広告費を増大できる見込みなど、テレビ局にあるのだろうか?

 しかし、残念ながら広告主達はリーマンショック以降、広告費に対して抑制的であるし、投入する広告も、ネット広告など、テレビ以外にシフトしつつある。

 しかし、もちろん電通もこの流れを座視している訳ではなく、いち早くネットで儲ける関連会社を立ち上げてはいるが、田原などがいつまでも電通マンセーなのは、自分達の食いぶちを確保する為に、自分たちもいち早くその流れについていこうとしているあせりからなのではないかと、私は邪推している。

 しかし、今後テレビが広告を増やす為には、むしろ権力をストレートに批判できる勇気ある報道番組や、時代の暗部を直視した真実を語るドキュメンタリー番組などを充実させて、視聴者からの信頼を回復するべきだという、皮肉なパラドックスがある。

 おっとやべー、こんなもん書いてたら、そろそろ“ロンハー”『ロンドンハーツ』が始まりそうだぞ。

 今日は『格付けしあう女たち』なので、必見だ。




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