Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


母子加算ゼロと30万円スーツ
2009年10月6日 12:17

 母子加算とは、18歳までの子供がいる1人親世帯に上乗せされてきた生活保護の加算のことである。

 東京23区では、2004年当時には月額2万3,260円が支給されていたが、支給額は段階的に減額され、今年(2009年)の4月1日にはゼロになった。

アニメの殿堂より、母子加算復活を!(メルマガ1265号より抜粋)

 ↑の民主党の山井和則衆議院議員のエントリによると、山井氏が聞いた1人親世帯の当事者の母親は次のように語ったという。

「私は貧しくてもいい。我慢できる。しかし、子どもには高校に行かせたい。子どもにはちゃんとした教育を受けさせたい。

 長女が家計に気を使って、中学の修学旅行を断念した。そのお姉ちゃんの姿を見て、妹も『私だけ修学旅行に行くわけにはいかない』と言って、修学旅行をあきらめた」

 上記の母子加算ゼロという自公政権当時の政府の政策に対して、厚生労働省の阿曽沼慎司社会援護局長は、母子加算の代わりに「就労支援費」を支給していると説明している。

 しかし、「就労支援費」では、病気・障害や育児で働けない世帯には支援がなくなることになり、その世帯数は3万世帯にのぼるという。

 これに対して、共産党の高橋ちづ子議員は、「もっとも生活が困難になる人に一番厳しい仕打ちだ」と政府の政策を批判した。

 しかし、こうして母子加算が打ち切られる一方で、石原都知事は150億円の血税を投じてオリンピック招致を行い、東京五輪招致団は、1着30万円のスーツを着て10月2日にデンマーク・コペンハーゲンにて招致の為のプレゼンテーションを行った。

 結果は、落選だった。

1.老人医療費助成制度(いわゆるマル福)の廃止。
2.無料シルバーパスの全面有料化。
3.寝たきり高齢者への、老人福祉手当月、5万5千円の廃止。
4.特別養護老人ホームへの、都加算運営費補助の廃止。
5.特別養護老人ホームへの用地費補助廃止―地価が高く増設困難に!
6.高齢者ホームヘルプサービス事業補助の廃止。
7.ショートステイ事業補助の廃止。
8.高齢者日常生活用具給付事業補助の廃止。
9.高齢者在宅サービスセンター運営費補助の廃止。
10.痴呆性(認知症)高齢者デイサービス運営費補助廃止。

 石原慎太郎の石原慎太郎による石原慎太郎の為のオリンピック招致は、毎日新聞のサイトの「日本のスイッチ」の中にあった質問で、『次の東京都知事には、五輪誘致を進めてほしいと思いますか』の答えにて72%の人がNOと語っていたにも関わらず、これまで母子加算の廃止だけでなく、上記の福祉政策の廃止を行う一方で強引に進められた。

 こうした事実を顧みると、30万円のスーツを着た東京五輪招致団のメンバーが落選後に語った「残念だった」という言葉は、福祉予算廃止により切り捨てられた人達の無念さに比べると、軽薄なものにしか感じられなかった。

★アンタッチャブル
 石原慎太郎は、10数年前までは、「オリンピックなんてアマチュアのゲームに関心ありませんね!スポーツってのはやっぱりプロの妙技につきます!」と語っており、およそ反戦平和とは程遠いタカ派発言や、中国、韓国、そしてフランス語にまでケチをつける差別発言を繰り返していたというのに、なぜ、平和の象徴とも言えるオリンピック招致に傾倒したのだろうか?

 こうした問いは、その問いかけ自体がバカげたものであり、世の中の仕組みについて“少しは知っている”社会人ならば、誰でも簡単に想像が出来るものだが、多くの人は石原利権はアンタッチャブル(触れてはいけない闇)なものであることを知っているので、それを公けの場で語る事は少ない。

 私自身、アンタッチャブルについて語るのは勇気がいることなので、以下には、ところどころ伏せ字にすると共に、私自身は自殺の意思は全くないと断った上で書き進めていくとしよう。もちろん、自分が死んだ後の心配をするのもナンセンスなのだが、一応、お約束的な記述として。(黒社会の人達が直接行動を起こした際には、これを読むどなたかは、私には自殺の意思が無かったことを心あるジャーナリストに是非伝えて頂きたい)

 さて、石原利権だが、誰でも暗黙の了解的に分かっていることだが、オリンピック開催が決定すれば、大規模開発が行われ、当然それで儲ける人達が出てくる。

 ストレートに言えば大手ゼネコンと不動産会社である。

 ちなみに、あくまでも噂の上では、なぜか好立地に建設された石原の選挙事務所の地主は○ミ○モ不動産で、この事務所にて、○ジ○建設などが選挙応援をしていたというが、あくまでも噂の話でソースは不明だ。

 そして、石原はこうした業界の方達に、オリンピック開催が決まれば、10年で100億単位の金を流すよう話を進めていたことは想像に難くない。

 また、こうした土地や箱モノの建設で儲ける人達とは別に儲ける人達もいる。ご存じ電通である。いや失礼、○ン○ウである。


東京五輪招致の委託事業費 87%を電通に発注

2016年夏のオリンピック招致にむけて東京都(不本意な石原都政)が、「電通」に委託事業費の86.5%を独占させていたことが2009年3月11日、東京都議会予算特別委員会で明らかとなり、その結果、2006年度から2008年度にかけて東京都(不本意な石原都政)が発注した委託事業費30億1059万円のうち、「電通」に、26億345万円(全体の86.5%)を発注したことが判明。

また、東京都(不本意な石原都政)の招致本部が「電通」との契約を、競争入札なしで特定の企業の指定を行う「特命随意契約」で行い、他企業に発注出来るはずの都バス車体広告、機運を盛り上げる為のTOKYO体操の企画まで「電通」に委託していたことが明らかとなった。

知事本局が2005年11月に、オリンピック招致事業の基礎調査の発注にあたり、「博報堂」など他の広告大手と企画競争をさせず、「電通」のほか人材派遣会社など4社を指名した企画提案の審査の結果、入札なしで「電通」に発注。
これを契機に都招致本部は、重要な委託事業をすべて「電通」に特命随意契約で発注してきた。


 皆さんご存じの通り、電通はメディアを牛耳っているので、テレビの報道などで、オリンピック招致に対するネガティブなニュースが流れることは相対的に少なく、むしろ、タレントなどを利用してオリンピック開催を推進しようとしていた。

 しかし、電通がメディアをコントロールしてB層をブレーン・ウォッシュ(洗脳)しているというのに、オリンピック招致は国民の間では全く盛り上がらず、招致に賛同する人も少なかった。

 なぜならば、徹底的に切り捨てられてきた社会的弱者は増加の一途を辿っているというのに、金持ちや土建屋の空騒ぎに対して、庶民が興味を持つのも難しいと言えるからだ。

 そして、石原利権にすり寄るテレビなどのメディアは、招致失敗の報道の際、飲み屋で酔っ払っているサラリーマンの「残念だった」というインタビュー映像を流したが、飲み屋のサラリーマンと、招致に成功したブラジルの10万人の歓声とのコントラストは、誰の目にも大きく映った。

★民度
 電通マンや、テレビ局に勤めるアッパーな人達は、平均年収が1000万円を上回っている。

 こうした人達が、自民党と蜜月関係を結び、ネオリベラリズム(新自由主義)があたかも素晴らしいものであるかのように盛んに喧伝し、それに騙されたB層の人達が、実際には自分達にとって不利になるというのに、小泉政権や石原慎太郎に投票し、経団連に属す大企業と金持ちが自民党を操り、自分達がより一層儲けられるよう裏で手を回し、新自由主義政策が進むと同時に中流層の人達がどんどん貧困層に陥り、元々貧困層に居た人達は路頭に迷ったり自殺したり、自分で自分を殺すことが出来ない人は、死刑制度を悪用して罪の無い人を秋葉原で殺したりもした。

 つまり世の中は殺伐とした。

 そこにきてリーマンショックが訪れ、大企業の儲けのカラクリも狂いだした。

 世の中はより一層不景気になり、モノは売れなくなり、格差が拡大すると、大企業も自分達の業績が悪化するという皮肉な現実が到来した。

 そして、格差是正は、何も貧困層だけでなく、金持ちや大企業にとっても重要な政策であることが、次第に全世界的なトレンドになってきた。

 こうしたトレンドを嗅ぎわける能力があるのか、本当に善人なのかは分からないが、京セラの稲盛会長などは、格差を作って儲ける経団連の手法とは距離を置き、派遣社員は使わず、民主党を支持していた。

 予想するに、利益が減ったり、ストレートに赤字転落したテレビ局や広告代理店などは、今後、益々経費削減に乗り出すことだろう。

 その結果、タレントのギャラや、広告代理店やテレビ局の社員のお給料も減額されれば、テレビの報道番組なども、もっと庶民目線で制作され、コーポレートクラシー(企業利益優先)の度合も減っていくのではないかと乙女チックに考えもするが、あまり期待も持てないので、むしろ我々庶民が、尊敬すべき識者が著した良書などを読むことで民度を高めていく必要性があるだろう。

 つまり言いたい事としては、自分が生きていく為にも、時代の暗部を直視する勇気を持つ事が、我々庶民にも求められている。






★備忘録

弁護士ら五輪招致反対アピール 「東京、ふさわしくない」

 【コペンハーゲン共同】2016年夏季五輪の東京招致に反対する弁護士やスポーツ団体のメンバーらが2日までに、国際オリンピック委員会(IOC)総会が開かれるコペンハーゲンに入り、南米と欧州、アフリカのオリンピック委員会関係者に面会するなどし「東京は開催都市にふさわしくない」と呼び掛けた。

 自由法曹団東京支部の6人とアマチュアスポーツ振興に取り組む団体のメンバーで、面会による訴えのほか、現地入りしている報道関係者らに「異議あり、2016年夏季五輪の東京招致」などと英語で書いたビラ数百枚を配った。

 総会当日の2日は朝から会場近くで、英語で書かれた横断幕を掲げ、招致反対を訴える。

 支部などは昨夏から「具体的な理念や計画は都民不在で決定されており、都民が検討する機会を設けなかった」などとして、招致反対のシンポジウムを開いていた。

 都議会で招致に反対してきた無所属福士敬子都議も現地入りし、総会当日にパブリックビューイングが行われる市庁舎前で反対のビラを配る。

2009/10/02 06:36 【共同通信】









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