Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


『オリンピックはいらない!』とロードレース(2)
2009年10月11日 9:12

 個人的な見解にて、私は基本的にスポーツが嫌いである。正確に言えば、オリンピックや、サッカーや野球の国際大会が嫌いである。

 その理由を明確に説明してくれていたのが、前回のエントリで紹介した『オリンピックはいらない!』だが、私の性格を知る皆さんならうすうす想像できるように、私はナショナリズムが嫌いである。

★衆議院選挙前後の現象
 フツーに考えて、台湾問題や国内の多様な民族問題を抱える中国が、それらの解決もままならないのに、日本を占領するというのも早計な話だが、それよりも、1人の宗教家が、宗教を利用して政治に介入し権力を拡大しようとしている事の方が重大で、現実的には、フランス政府からカルト指定されている宗教団体が我が国を乗っ取る現実味の方がよほど驚異的で、そうした宗教団体が支持する政党と手を組んだ自民党が政権を握っている方が中国よりも驚異だと私は個人的に考えていた。つまり、自公政権は獅子身中の虫だと考えていた。

 しかし、衆議院選挙の前には、自民党別動部隊が暗躍したのかどうかは私には分からないものの、現実的な現象として、2とゃんねるとニコニコ動画で語られていることが真実だと信じてしまうオタクの方達が、衆議院選挙で自公政権から民主党へ政権交代すると、日本人は消滅するとか、日本は中国に占領されると信じてしまい、執拗に民主党のネガティブキャンペーンを行っていた。

 こうした考えを抱いた若者は、一種の精神障害を抱えていると言え、一言で言えば、これはカルトである。

 皮肉なことに、現実的なことが分かっていないのに右派的思想に傾倒した、こうしたネットウヨの人達に対して、リアルな右翼の人達も警戒心を持ったようで、リアルな右翼の人達もこうした若者とは距離を置いていたというのは、第三者から見て嘲笑の対象にもなった。

 しかし、ネットウヨの若者の期待もむなしく、衆議院選挙が終わってみると、結果は民主党の圧勝で、自民党と公明党は惨敗を喫して自滅した。

 つまり、2ちゃんねるやその他の匿名掲示板やニコニコ動画でのネットウヨの働きは極めて限定的で、実際には選挙にはほとんど影響力が無かったが、ネットウヨの語る事が真実かどうか判断に迷っていた若者は、誰が素っ裸で泳いでいたかを、大波がひいてみて初めて知ることになった。

 ちなみに、民主党が政権を取ると日本人が消滅するとか、中国や韓国に支配されると本気で信じてしまった若者達は、選挙前に家族とも口論となり、それまでは圧倒的に保守を支持していた家のお爺ちゃんが、よりによって今回初めて民主党に票を入れたと知って半狂乱になったというエピソードもあったようだが(御苦労な事だ)、選挙が終わって、これらの若者達はやり場のない憤りを持ったのかと思いきや、閣僚の挨拶にて、多くの民主党の議員は国旗の前を素通りしたのに対し、民主党と連立を組む社民党の福島瑞穂がキチンと国旗に挨拶したり、民主党の外国人に対する参政権の付与の法案に対して、福島瑞穂が「慎重に検討すべき」と発言したことで、今度は若者達は、あろうことか(笑)、社民党の福島瑞穂を「みずほタンは神」と持ち上げ始めたが、こうした若者達のブレようは、ある種微笑ましくも感じてしまう。余談だが。






↑の画像はコピーレフトのようで、無断転載等全てOKのようです。


 ところで、他の民族を憎まなければ、自分の国への愛を確認出来ないというタイプの右翼の人達は心が屈折し過ぎており、これは一種の精神障害であるということを私に教えてくれたのは、ネットの掲示板で右翼の若者と交流を図ったことがある私の友人だが、しばらく疎遠になっていたこの友人が、衆議院選挙の民主党の圧勝後に、お祝いをかねて久々に私にメールをよこした。

 私の友人が言うには、右翼というのは、無知と精神障害のゴッタ煮みたいなものなので、右翼は「戦う相手」ではなく、「癒して」あげる必要があるとのことである。

 恐らくそれは正論なのだと私も思うが、残念ながら私は癒しの専門家ではないので、どうすれば右翼の人達を癒せるのかは分からない。

 ただし、私なりの見解で言えば、日本に限らず、世界中の全ての国を含めた全世界的な傾向として、格差が拡大した国は必ず右傾化するという現象があり、我が国、その中でも特に若者の右傾化が著しいのは、現在の日本では、若者が格差社会到来の一番の被害者になっているからなのだと思われ、「急がば回れ」の格言に従えば、ネットウヨに直接的な「癒し」の愛の手を差し伸べることも大事だが、格差是正を敢行し、若者が正社員としてキチンと就職出来るとか、収入が向上するとか、それでも落ちこぼれてしまった貧困層には、キチンとしたセーフティーネットを作って保護してあげると言った社会的な整備をすることが必要なのだと思われる。

★見たいのは個人の闘争心とテクニックだけ
 若者達が選挙をキッカケに不必要なナショナリズムを抱いたことについての説明が長くなってしまって失礼。

 しかし、私は“おつむ”が弱いので、ひとつひとつしっかり吟味していかないと頭の整理がつかないので、シンプルな文章を好む方は大目に見て頂きたい。

 さて、私は体を動かして新陳代謝をうながし、健康を維持するという意味でのスポーツの有意義性は認めたいが、自分が体を動かす訳ではないプロスポーツの観戦にて、特にオリンピックやサッカーや野球の国際大会などに多く見られる、番組の製作側が意図的に、しかも過剰に演出するナショナリズムや、それに迎合した視聴者の姿が嫌いである。

 こうしたことを公けの場で書けば、これを読む多くの人達も、「日本人なんだから日本を応援して何が悪い」と反感を持つだろうことは簡単に予想できるが、それが他の民族を憎む理由にはならないと強く主張もしておきたい。

 また、オリンピックいらないネットの方達の主張にあるように、オリンピックやサッカーや野球の国際大会は、ナショナリズムの鼓舞だけが問題ではなく、それを利用することで金を儲けようとするその拝金主義にも嫌悪感を感じてしまう。

 思うに、オリンピックは、もちろんチームプレー的な競技も含まれているものの、個別的に個人競技が多いにも関わらず、それぞれの国が国の威信をかけて代表的な選手を送り込んでいるという、国単位が一種のチームと認識されている傾向が強く、また、野球やサッカーはストレートにチームプレーのスポーツなので、このカテゴリーで金を儲け、観客を呼び込もうとオーガナイザーが考えた時、手っ取り早くナショナリズムに火を点けた方が早いと考えてしまうのは想像に難くない。

 その点、例えば格闘技の世界、特にK−1などでは、藤原紀香が騒げば騒ぐ程、むしろ藤原紀香に対する嫌悪感からか、ファンの間で日本人選手の評判はすこぶる悪く、もっと言えば、観客はえこひいきされている日本人選手がノックアウトされるシーンを見たがっているというフシもある。これは、チームプレーではなく、純粋にノックアウトを決める美しい技術を見たいという、観客のストレートな想いの裏返しとして、私は好意的に受け止めているが、皆さんはどうだろうか?

 ではお待ちかね、得意のモーターサイクルスポーツに話を移そう。




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