Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


NDCと東京モーターショー
2009年10月23日 11:22

 NDC(Newly Declining Countries)とは、新興衰退国という意味のようで、これは、経済発展が著しいブラジル (Brazil)、ロシア (Russia)、インド (India)、中国 (China) の頭文字を合わせた4ヶ国の総称であるブリックス(BRICs)に対する、言ってみれば日本のような国に対する皮肉的な呼称のようにも感じられてしまう。

 NDCは、正確には、グローバリズムや外国人を受け入れず、排他的な政策を行うことで、主要国としての地位を捨てる国のことを指すようなので、我が国が現時点でNDCと言い切れるかどうかは私にはよく分からないが、ブリックスに比べれば、他の主要国は明らかにジャッパンパッシング、あるいはジャパンナッシングと考えていることが良く分かり、それが如実に表れたのが東京モーターショーだと言える。

★東京モーターショー
 東京モーターショーは、2年前の2007年には、海外メーカーが33社出展していたが、今年はそれが7社になった。つまり約8割のメーカーが出展を取りやめ、ジャッパンパッシングした。

 また、カワサキは日本のメーカーだと言うのに、モーターショーの出展を取りやめたようだ。

第41回東京モーターショー 2009への出品取り止めについて

 個人的には、不景気で金がないのだから、こうしたカワサキの英断は賞賛したいし、むしろ、カワサキと同じく4輪を扱っておらず、大幅赤字だというヤマハが出展しているのは理解に苦しむ。

★新興衰退国
 話を元に戻そう。

 誰の目にも明らかなように、お隣の中国などの方が明らかに経済成長著しいし、我が国はアメリカなどからも、明らかに軽視されている落ちぶれた国と言った印象の国になれ果てた。

 しかし、先日テレビで見たトヨタの副社長へのインタビューで、トヨタの副社長は若者のクルマ離れを憂慮しているご様子で、その理由として、若者にクルマの楽しさを伝えられていないと答えていた。

 バカげている。

 若者がクルマになど興味を持たなくなったのは、トヨタやキヤノンという、おまえ達経団連関係の大企業が、小泉・竹中を使って我が国を格差社会にして、若者を貧困層に追いやったからだと言うのに、業績が悪くなった後も、自分たちのこれまでの悪行については全く自覚していないその有り様に対しては、正に私は反吐(へど)が出る思いだった。

 ストレートにトヨタFUCK!!! 凸(`〜´)

 そう、我が国がここまで衰退したのは、中曽根辺りから自公政権がネオリベラリズム(新自由主義)を我が国に注入し出したのが原因であり、医療や福祉の現場を破壊し、ストレートに弱者切り捨て、経団連及び金持ち優遇に走ったからだと言える。

 しかし、こうした現状に対する民衆の怒りは、参議院選挙、都議会議員選挙、そして衆議院選挙にて発揮され、見事に自公政権を自滅に追いやることに成功した。

 自公政権にNOを突きつけた日本国民に敬礼!!!

 そして、これまで、年収が1000万円以上の電通やテレビ局の社員などは、もちろん金持ち側に属す人達なので、メディアを駆使して執拗に民主党を攻撃し、逆に自公政権をヨイショしてきたが、サンデープロジェクトの田原などは今でもその傾向は残しつつ、電通やテレビ局の社員達は、自分達のボーナスが大幅に減額されるやいなや、最近では自公をヨイショするパワーもだいぶ落ち始めてきているように感じられる。

★民主党と自民党
 正直に告白すれば、私自身、皆さんと同じく、とにかく極悪とも言えた自公政権を終焉させたいという思いが強かったので、民主党になどほとんど何も期待せず、とにかく自公政権は絶対イヤだという気持ちが先走った形で、政権交代の為の政権交代を支持する意味で私は民主党を支持していたが、衆議院選挙が終わって本当に政権交代が実現すると、意外にも民主党がよく働き出していて、いい意味で予想が外れた感がある。

 とくに、私は極右の前原が民主党の中で一番大きなガンだと思っていたが、前原が防衛省に入りでもしたら、我が国は一気に右傾化しそうだったので、それを非常に恐れていたものの、国交省の大臣になるや、ダム工事の中止と言ったムダの排除や、これまでの自公政権では、国の戦略など全く考えないただのバラ撒きだった空港や港の建設に対して、国際競争力をつける為のハブ化を推進すると言い出したりと、意外な活躍をしていて少し見直したので、東京の石原や千葉の森田などのバカ丸出し調の知事などに負けず、このまま国交省利権にメスを入れて頂きたいと思う。

 あとは、母子加算の復活なども歓迎すべき出来事だが、一番強烈だったのは、亀井静香が郵政大臣になったことで、小泉・竹中に抵抗勢力として切り捨てられ、自民党を追い出されるハメになった亀井静香が、全国の郵便職員を党員にして国民新党を立ち上げ、郵便局や地方の人達を味方にして活動していたものの、今回の政権交代にうまく便乗して郵政大臣になってしまうとは、小泉・竹中も想像すらしなかった事だろう。ザマーミロだ。

 また、早速郵政の社長は交代することになったが、メディアでは一切報じないものの、本当の悪役はオリックスの宮内であり、小泉・竹中と癒着して金を儲ける政商たる宮内も、亀井静香が出しゃばってきたので、今後は自身の金儲けもそう簡単にはうまくいかないということになるだろう。

 また、行政刷新会議のメンバーに、経団連とは逆の立場に身を置く京セラの稲盛会長を起用したり、逆説的には、これまでの自民党と違い、経団連とは距離を置く姿勢も大変好ましいと言える。

 また、その自民党だが、政党助成金や寄付金などの減少により、正に青色吐息と言った状態だと言うのに、泣きっ面にハチのごとく、日本医師会も自民から離反した。賢明な判断である。

 では、今後自民党は何をすればいいのだろうか? 答えは非常にシンプルで、自民党が今後やるべきことはたった1つ、“解党”である。

 自民党はもう用無しで、ほとんど何も期待出来ないので、このまま素直に解党し、自民党議員は、今後は“自己責任で”、民間企業にでも就職して頂きたいと思う。

 そして、本当に“元”自民党議員が職安の窓口に訪れた暁には、職安の職員の方は、“元”自民党議員に対して例のセリフを投げかけるべきである。「今まで何してたんだ?」





★リレギュレーション
 今回の政権交代により、我が国は明らかに弱者切り捨て金持ち優遇の市場原理主義チックな国から、ユーロ的な社民主義に政策の舵を切ったと言える。

 これまでの市場原理主義とは、とにかく儲けた奴が勝ちという世界観で、「人よりも」という、“幸福感”を追及する社会だったと言える。

 しかし、今後は「人よりも」という幸福感の追及ではなく、「人と共に」という、“幸福”を追及する社会になっていって欲しいと、私は乙女チックに願っている。

 つまり、競争社会ではなく、共生社会という訳だ。

 中には、そんな甘い社会などにわかには信じられないという方もいるかもしれない。つまり、競争は人間社会では当たり前の話で、競争がなければ進歩は無いという訳だ。

 もちろん、私は競争を全否定している訳ではなく、競争を歓迎する部分もあるのだが、その部分だけがこれまで誇張して語られすぎたきらいがあり、世の中には、相互扶助によって共生を保っている分野も多いのである。

 また、例えば1つの会社の社内で複数チームを作って開発競争させたとすると、意外にも、それは重複による資本や資源や人材のロスにつながるだけだという事が分かったりもする。昔ホンダが4気筒車においてパラ4とV4の部署を作ったように。

 しかし、まともな経営者なら、そんな無駄なことはせず、戦略を一点に集中特化する。ハーレーのVツイン、ドカのLツインのように。

 つまり、1つの会社内の上記の例え話を、今度は日本という国の単位に移写拡大してみたらどうだろうか? 日本という国内で、とにかく無計画に競争だけさせていたら、日本という国の資本や資源や人材のロスにつながりはしないだろうか?

 また、これまでの自公政権は、な〜んにも考えずに、大手ゼネコンとの癒着により、空港や港の建設費をただバラ撒くことで、自民党が大好きなネットウヨの人達が大嫌いな韓国などに国際競争力で遅れをとっていた訳だが、国内での無駄を無くし、韓国などに対抗して国際競争力をつけようと、民主党の前原などは今回動き出した訳だ。

 ネットウヨの人達は、民主党が政権を取ったら、日本人は消滅するとか、日本は中国に占領されるとか思っていたようだが、実は民主党の方がよっぽど中国や韓国に対して戦略的で、自民党政治の方がよっぽど売国的だったということが、こんなことでも良く分かる。

 話を戻して、前述の社内の複数チームの例にあるように、すでに我が国が国内で無駄な競争をしている余裕などなく、何でもかんでも市場にまかせて放っておくべきだという、竹中ライクなネオリベラリズム(新自由主義)では、むしろ自滅を早めるだけだと言える。

 しかし、竹中などの市場原理主義者達は、とにかく規制を撤廃しなければ経済成長などしないといつまでも訴えている。

 これを読む人の中にも、日経新聞を読んだり、日経の息がかかったワールドビジネスサテライトなどのテレビ番組を観ている人は、弱者切り捨てになどあまり関心がなく、単純に経済成長優先でネオリベラリズム(新自由主義)を支持してしまうという人もいるかと思うが、こうした人達は、国家が経済を計画する社会主義は失敗したではないかという考え方に強く惹かれる傾向がある。

 そして、やっぱり何だかんだ言っても、経済は市場に任せるしかないのではないかと刹那的に考えたりもするようだ。そして、その際に落ちこぼれる人が多少出てもやむなしということで、ひどい場合だと、こうした人達に対しては、お決まりの自己責任論を突きつけたりもする。

 しかし、全世界的に、すでに経済は国家でもなく、市場でもなく、第3の道にゆだねるべきだという考え方が台頭し始めている。

 そう、国家が市場を計画するのでもなく、市場が社会を支配する訳でもなく、人間が市場を“調律する”という考え方に。

 昨年のリーマンショックを見ても、ようするに市場原理主義は、巨大なマネーの暴走を止めることが出来なかったという前例になった訳だが、昨年までは、市場が勝手に暴走し、市場に人が合せるというか、市場に人が振り回されていた状況なのだったと言える。

 しかし、今後はデレギュレーション(規制緩和)から、リレギュレーション(再規制)によって、市場の方を人間に合わせて調律するという世の中になっていくことだろう。

 そして、このリレギュレーションにより、無駄な競争がなくなれば、国内にて、重複による資本や資源や人材のロスが減り、逆説的には国際競争力が増すことにつながることだろう。

 また、ネットウヨの人達は、民主党が政権を取ったら、日本人は消滅すると信じていたようだが、実際には、母子加算廃止など、子供や親に厳しい政策を採用していた自公政権下の日本の方が、日本人の消滅に一役買っていたと言え、今後日本の政策が、民主党の提案する「社会全体で子供を育てる」という考え方にシフトすれば、国力の源泉たる“人間そのもの”が増え、日本が新興衰退国、つまりNDCなどというレッテルを他国から貼られる日も遠のくことだろう。




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