Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


アカへの鞍替えし
2011年3月18日 17:43

 「共産党に支配されたら、土地や預貯金などの私有財産を没収されてしまう」というのが、共産主義アレルギーの根源にあるが、たった今共産党が政権を握ったとして、国民のコンセンサスも得ずにそんな事はしないし、すでに路線変更しているように、現在の私有財産制度も認めた上で、フツーにユーロ的社民主義の政策を実施するだろう。

 しかし、そもそも論として、自分の土地や財産を「囲い込む」という行為は、人間として最も卑しい行為とも言えるので、人類が私有財産を持つ事の欺瞞性に気付き覚醒したとして、例えば今から500年後とか1000年後とかに私有財産がないという共産主義を採用して、みんなで平和を分かち合うという時代が来てもいいと思う。

 ただ、そうした覚醒が100〜200年以内、つまりは自分の寿命よりも短い間にくるとも思えないので、共産党が政権を取ったからと言って、すぐに現代社会全否定にはならず、国民のコンセンサスを得ながら、民主的にユーロ的社民主義と原発がない社会を目指すと思う。

 又、ユーロ的社民主義を採用して、政治・経済が安定した方が、中流階級の人達はむしろ現在の私有財産がしっかり守られる事になるだろう。

 ところが、経済右派を推進する政党を支持し、市場原理主義を注入した場合、上位2%程度の人と大企業だけに莫大な私有財産が集中し、中流以下の人達は収入が下がる事で私有財産を手放す事を余儀なくされる事態になる可能性が高い。否、すでにそうした事態は表面化している。

 多くの人は、自分も上位2%に入れるという“可能性”を信じて、「頑張った人が報われる社会」という美名に酔いしれ、ネオリベラリズム(新自由主義)を推進する政党を支持してしまうが、そこに入れる可能性は非常に低く、逆に中流から貧困層に転がり落ちて私有財産を失う可能性の方がはるかに高いという現状になっている。

 自分の寿命より先の世の中の共産化を心配して共産主義アレルギーを持つ事と同時に、上位2%に入れる“可能性”を信じて、市場原理主義を推進する政党を支持しても、上位2%に入れる間、医療や福祉などはどんどん破壊され犯罪率や自殺率もどんどん上昇していき、世の中は殺伐化していく。

 ついで言えば、コーポレートクラシー、つまり、国民の生活の保障や安全よりも大企業の利益が優先され、危険な原発に囲まれた警察国家への道にどっぷりつかる事になる。

 また、万が一運良く上位2%に入れたとしても、魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人達が寄ってたっかってきて転落する可能性も高く、また、そもそも上位2%に入る事が出来る理由の1つとして、「頑張った人が報われる」の美名に反して、親が金持ちなどの世襲が要因になっている場合も多い。

 つまり、自分の寿命の範囲内のしばらくの間は私有財産は守られ、社会福祉も充実し、大金持ちがあまり居ない代わりに「おにぎりが食べたかった」と言い残して餓死する人も少なく原発もない安全で安心な社会を目指すべく共産党を支持するのか、上位2%に入れる確率、また入った後にそれをキープする確率が非常に低いが、会社の倒産など不可抗力的な出来事により一気に貧困層に転がり落ちる可能性が非常に高い市場原理主義的な政策を推し進める経済右派の政党を支持するのか、双方を両天秤にかければ、いかに共産主義アレルギーがバカげたものかという事が、基礎学力がある我々より下の理性的な世代にはすぐに理解されると思う。

 又、仮に理性的に理解できずに、「ソ連の崩壊を見れば、共産主義などというイデオロギーはすでに失敗したイデオロギーだ」と頑なに信じ、いつまでも感情論的に大金持ちになれる可能性が残された社会を目指したいと思っていた人でも、現時点で特に大きな私有財産を持っていないのであれば、「背に腹」で社民主義に鞍替えした方がいい。

 逆説的に言えば、我々を洗脳し、ユーロ的社民主義の有効性を国民に知らせる事なくネオリベラリズム(新自由主義)を推進する勢力は、莫大な私有財産をすでにもった既得権益層だという事にもとっとと気付くべきである。

 エスタブリッシュメント(支配層)は、あなたの財産をひたすら食い潰し、財産を巻き上げた後は次にターゲットを移すというイナゴと一緒である。

 “共に産み出す”という考えは毛頭ない。


★追伸
 あけおめことよろ。

 さて、ツイッターはブロガーを殺すと言うが、ツイッターはアーブ山口をも殺した。

 しかし、ツイッターでつぶやくハズのつぶやきが非常に長い文章になってしまった為、今回久々に『アーブの手紙』を復活させてみた。




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