| Erv's Letters index | Text by Erv Yamaguchi |
| バカげたお台場プレイベント | ||||
| 2008年7月8日 17:40 | ||||
これまでであれば、バイクに絡んだイベントであれば、嬉々として紹介したであろう小林ゆき氏が、三宅島ＭＣフェスタの日程も決まり、お台場でプレイベントまで開催されるというのに、奇妙な沈黙を保っていたので、三宅島のバイクイベントに対して私がストレートに批判したことで自粛していたのかと思いきや、お台場プレイベントに関しては、どうやら開催後に紹介するというスタンスを取ったようだ。 皆さん御存じの通り、小林ゆき氏は、バイクと名がつけば全てウェルカムなスタンスでものを書くライターなので、それはそれで１つのキャラとして良しとして、反論権が担保されているインターネットの世界においては、このイベントに対して別の視点を当てることで、表現の自由を駆使してみるとしよう。 ★バイク屋の冷めた視線 昨年の三宅島ＭＣフェスタでは、火山噴火による三宅島の復興の資金として、最後の3億円をバイクイベントに使い、33名の一般参加者を集めることに成功した。 この3億円は、半分が老人という島の人達の医療や福祉を切り捨て、島民の自立支援や、未だ帰島出来ない1000人もの在京島民の帰島対策を無視し、島民が願う、下記の観光事業とはかけ離れた、石原慎太郎の独善で決行されたバイクイベントに使われたのは、これまで私が指摘した通りである。
そして今年度は、三宅島ＭＣフェスタや、お台場プレイベントに対して三宅村は2億2000万円の予算を投入することにし、お台場プレイベントは7月6日に開催された。 小林ゆき氏によれば、1000台を軽く超えたバイクが集まったので、プレイベントは満員御礼で盛り上がったと言う。
小林ゆき氏を含め、プレイベントを利用した人達や楽しんだ人達が本当に感謝すべきは、島民の皆さんというよりかは、このイベントを開催するキッカケを作った、石原慎太郎と、マン島で石原慎太郎の接待を受けた平野祐康村長と、“無投票”で当選した、このイベントを強く推進する自民党推薦の佐久間達己村議などだろう。島民は元々バイクイベントになど興味は無かったのだから。 それはさておき、アクセスの良いお台場に、“タダ”というエサに釣られて集まった1000人程度のライダーが、果たして10月に開催される三宅島ＭＣフェスタに、バイクを含めて約7万円の渡航費を支払って参加したり、約2万円程の渡航費を支払って観光客として島に渡るのだろうか？ 何人かは渡るだろう。しかし、2億2000万円の元が取れるのだろうか？ 恐らくは取れないだろう。そして、投入に対する費用対効果などは、昨年同様うやむやにされ、キチンと検証されることもないだろう。 仮に、それはそれで良しとして、むしろ、ふし穴とも言える三宅村の役人が、おめでたい調子で億単位もの金を２輪業界に献上してくれるのであれば、それは大変ありがたいというスタンスにてものを考えたとして、プレイベントの成功は、２輪業界の役に立ったのだろうか？ お台場プレイベントの目玉となった、フリースタイルモトクロスやサイドカーやドラッグマシンを見物した人達が、これをキッカケにバイクを買うのだろうか？ 何人かは買うかもしれない。しかし、イベントとは、歴史が証明するように、単に“打ち上げ花火”の一種であり、バイクの売上に持続的に貢献するものではない。 ネタを追い求めることで息をしているライターの思考は無視して、現実に２輪業界に生きている人達の気持ちを察してみよう。 現在、バイク販売店の多くは、バイクが売れないという悲鳴にも似た声を上げている。特に新車が全く売れない訳だが、新車が売れないことや、メーカーからのイジメや圧力により、仕方がなく中古車販売に切り替えようと、業者オークションに加盟してみると、今度はその仕入れ値の高さにより、全く利幅がないことに愕然とすることになる。理由は、中小排気量車の場合はアジア、大排気量車や高級車などはロシアへの輸出屋が暗躍している為、中古車が国内での店頭価格を上回る落札価格で落札される為に、国内販売では中古車でも利益が出ないのである。 こうして、新車は売れず、中古車もおいそれと仕入れられないバイク販売店は、八方塞がりとなっている。そして、ここに来て更に問題の根を深くしたのが、２輪車駐車違反の取締りである。 ２輪車の駐車違反の取締りは、平成17年度が11万件であったのに対し、平成18年の6月から平成19年の5月までの間は、41万3000件と約4倍増となっている。 具体的な私の経験談を語ろう。私は5年程前に、知り合いのバイク屋さんに頼まれて、駅前のバイクにチラシを配るというアルバイトをしたことがある。バイクを路駐した経験のある方なら知っていると思うが、バイク買取屋などがミラーなどに輪ゴムを使ってひっかけているアレである。 私は地理的に自分が得意な場所として、渋谷でよくやっていたのだが、休日の渋谷では、2時間で1000枚程度配ってしまうことが可能だったので、１日5000枚くらい配るのは簡単という感じだった。もちろん、これは渋谷に駐車されているバイク全てではなく、むしろごく一部のバイクだけの話なので、いかに世の中には沢山バイクが走っているのかが分かったというエピソードだが、現在は、取締りが厳しい為に、5年前に比べて、渋谷に行っても、駐車しているバイクはごくわずかになってしまった。また、血気盛んな渋谷の若者と、駐車禁止の取り締まりおじさんとのケンカもよく見かける。（ケンカというよりかは、若者が一方的にキレているだけだが） しかし、少し前には、バイク王がバイクの駐輪場ビジネスに乗り出し、渋谷のど真ん中に株主から集めた金で駐輪場を作り、ワールドビジネスサテライトなどに社長が出演したりしていたが、ほどなくしてこの駐輪場は無くなり、事業は失敗した。 渋谷には格安の公共のバイク駐輪場も存在する為、民業圧迫とばかりバイク王のビジネスモデルは頓挫したが、公共の駐輪場は圧倒的に不足しているのに対して、前述の取締まりの強化により、以前の路肩にズラーッとバイクが並ぶ風景は過去の遺物となった。 そして、こうした駐輪場の不足と、取締りの強化により、都内でバイクを買う人は激減している。そして、バイク販売店はその影響をモロに受けている。お台場プレイベントの出店案内を見てみると、二輪車駐輪場促進運動の署名を行っている東京オートバイ協同組合の名前もある。しかし、この組合は、5万4000人の署名を集め、政府や東京都に駐輪場を作らせる要望を行っているが、大きな成果につなげているとは言い難い歯がゆい状況となっている。 仮に2億2000万円で駐輪場を建設していたら、バイクの利便性は向上し、永続的なバイクの具体的な販売実績に結びつけることが出来た事だろう。また、微力ながら、駐輪場の管理など、東京都の雇用創出にも役立つことが出来ただろう。永遠に。 しかし、年間41万人が駐車違反で捕まり、渋谷周辺だけでも数万台のバイクが消えてしまった昨今、このイベントに関わった人達は、わずか1000台のバイクがお台場に集まったことで、このイベントは大成功だったと“から騒ぎ”している。 |
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| ★異なる感想 とあるブロガーのエントリ ↑などは、ニュートラルなスタンスによる、比較的冷静なプレイベントの感想だと思われる。 注目されるのは、唯一楽しめたのが、三宅島の地元の名産品のブースだとのことだが、2億2000万円もの予算を投入するのであれば、単に、年がら年中、デパ地下や旅行会社等とのタイアップにて、三宅島の名産品をアピールし、年中通して観光客を集めるという戦略の方が、観光収入は単純に上昇するのではないかとも思われるが、三宅村の村長や自民党推薦の村議達には、そうした発想はなく、封建社会のように、石原からのとトップダウンにあくまで従いたいのだろう。 そして、何度でも繰り返し訴えたいが、バイクの競技の中でもマイナーなカテゴリーの人達や、数百万円もするバイクを売っているようなナントカジャパンやアパレルメーカーは、三宅島の復興において、バイクという名の付加価値などほとんど無意味だなどと言ったことは絶対に口にせず、このイベントの予算に乗っかり、甘い汁を吸った。 ★新たな負のイメージの創出 単に批判ばかりしている人間だと思われるのも仕方ないかもしれないので、信ぴょう性は薄くなってしまうかもしれないが、そうは言っても、部品メーカーとは違い、その年に作ったものはその年に売らなければならないアパレルメーカーとか、イナゴと同じく、単に儲けることしか考えない外資系のナントカジャパンなどが、崇高な理念をベースにした長期的な展望よりも、短期的な収益が欲しいという考えから、“おかみ”が金を出すと聞けば、なりふり構わず出店してしまう気持ちも私にはよく理解できる。 また、このイベントで観客として楽しんだ人達は、医療や福祉を切り捨て、未だ帰島出来ない1000人もの在京島民の気持ちを踏みにじって、復興に苦しむたった2900人しか人が住んでいない半数が老人という島の予算から捻出された億単位の金で自分達はフリースタイルモトクロスなどの“タダ見”を楽しんだのだと言った自覚は恐らくないだろう。 しかし、今後も継続して２輪業界が、弱者を切り捨てた上で投入される血税にたかって、自分達の生き残りをかけようと考えるのであれば、騒音、事故、非行などのこれまで得たバイクに対する悪いイメージに対して、別の負の側面を追加することになるのではないだろうか？ 石原主導で始まった、血税搾取型の発展方法を利用することで、果たして２輪業界は本当に発展していくのだろうか？ その姿勢に対して、１人も批判する人間が居なかったという状況で果たして良いのだろうか？ 私の文章の出発点は、正にそこにあった。 |
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| ★狭量バトル 「そこにあった」とは思っていない人達もいる。このイベントを狂信的に推進している人達は、それまで私の存在など知らなかったようなので、私に対して様々な憶測を語っている。 定説となっているのは、私と小林ゆき氏との確執であるが、中には、「小林ゆきにフラれたハラいせ」とか（爆）、それを勝手に肯定された上で、私は「セクハラヤロー」などと呼ばれたりもしている。（核爆） また、御丁寧に小林ゆき氏に質問し、小林ゆき氏は、私の書いた菜食主義に関する文章に対して、小林ゆき氏が自身のブログにて、焼き肉を食べたと記述した為に、私が復讐したと返答したらしく、それが原因というものまであった。（核爆） たしかに、推進派の人達からすれば、三宅島ＭＣフェスタは昨年開催されたのに、今年になってから私が三宅島ＭＣフェスタに対して反対を表明したのが不思議だと思われても仕方がない面もある。これは極めて個人的なわたくしごとだが、私は昨年まで自身の事業が激務で、三宅島どころか、全ての世事にうとい状態で、とてもネットサーフィンなどしている余裕はなかった。しかし、今年に入ってから、事業の80％から撤退し、今度は強烈にヒマになってしまったので、小林ゆき氏のブログも拝読するようになった訳だが、別に小林ゆき氏を口説くつもりもなく（笑）、以前から認識していた、彼女の持つバイク性善説ライクな文章が、御苦労様だと思っているだけだった。しかし、私の怒りのティッピングポイントとなったのは、石原慎太郎をヨイショした文章を発見したことであった。皆さん御存じのように、私自身はスカンジナビアモデルを参考にした社会民主主義者で、プログレッシヴなスタンスを取っている人間なので、親米右派や、ネオリベラリズム（新自由主義）を推進する政治家の存在は許しがたいものがあり、また、それを擁護するジャーナリストに対しても、許しがたい気持ちを抱いていたのである。家族や親友ですら私の目の前で、むしろイヤミっぽく平気で肉をバクバク食うというのに、今さら深い関係にもない小林ゆき氏が肉を食べたことなどなんとも思わないし、肉を食って喜んだというバイク乗りのエピソードなど、むしろ他に腐るほどあるだろう。 ちなみに、こうした弁解的な文章を御披露することは、“狭量”だと判断されるので、記述するのはどうかとも思ったが、よくよく考えれば、私には失うような名誉もなく、自尊心や虚栄心も頭の髪の毛と共に抜け落ちてしまったので、小林ゆき氏と“狭量バトル”を展開しても良いかなとか、単に読者に対するファンサービスになるかなと思って書いている訳だが（笑）、推進派の人達の、イベントを存続したいがあまりの私に対する想像力には脱帽で、大変けなげだとすら感じてしまう。また、今年の初めまでは、フツーにコミュニケートしていた私が、石原に関するエントリを私が知った途端に手の平を返したように批判を始めたことで、小林ゆき氏も困惑し、私に対して風評被害の１つでも与えたい気持ちになったであろうことは簡単に想像も出来る。（そうした寝技は私には通用しないのが彼女の誤算だがw） しかし、今となっては遅いかもしれないが、駐輪場問題とかＥＴＣ問題だけ語っていれば良かったのに、なんでまた小林ゆき氏は、チキンホーク（ヘタレ右翼）の石原慎太郎など持ち上げるというオーバーランを行ってしまったのだろうか？ まさか彼女自身が右翼なのだろうか？ そうではないと信じたいし、そうではないのであれば、早く自分自身で釈明しないと、左翼は元より、ヘタレ右翼が心底嫌いな民族派の右翼（こちらの方が過激である）から攻撃されかねないと、むしろオジサンは心配している。（笑） まー、上記の記述は、小林ゆき氏やそのワンフーが読めば詭弁と感じるかもしれないが、ちなみに、今年に入って左派系の思想を語るようになった私自身は、すでに悪名高い“ネットウヨ”さんから執拗な嫌がらせを受けているし、“低脳ちゃん”から、「死ね」と言った時流にあったメッセージまで頂くようになってしまった。（核爆） また、小林ゆき氏は、推進派の人達に対して、私のことを“極端な菜食主義者”と語ったようだが、私は魚や卵も食べてしまう、ゆるいベジタリアン、通称“ゆるベジ”であり、動物性の食品を一切シャットアウトした、ヴィーガンと呼ばれる人達には遠く及ばない食生活を営んでいる。また、私の文章を菜食主義に関する“暴論”と言うのであれば、“極端な菜食主義者”という表現と相まって、菜食主義者に対するレイシスト（差別主義者）と捉えられ、菜食主義者も全員敵に回すことになると警告したいと思う。しかし、日本と違い、Ｖメニュー（菜食主義者向けのメニュー）が充実している、9人に1人がベジタリアンというイギリスへ何度も渡航している小林ゆき氏が、菜食主義者を蔑視しているとは思いたくないので、今後は、三宅島バイクイベントをヒステリックに推進している“おしゃべりな”人達に対しては、正確な“ものいい”で語りかけた方が良いというのが本当の所だろう。 |
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| ★バカげた２輪業界 話を元に戻そう。 私は若い頃、公道で無茶したり、その後サーキットを走ったりしたことで、公道レースなど論外という価値観を醸成していったが、そんなことは、サーキット走行について“少しは知っている”ライダーであれば、常識だろうとたかをくくっていた。が、しかし、今年に入って、石原慎太郎というロードレースの世界における部外者が、権力を使って本当に公道レースを開催しそうなイキフン（雰囲気）を感じた時、そして、常識はわきまえているが、根深い冷笑主義に感染している多くのサーキット野郎達、つまりはサイレントマジョリティ（静かな多数）に対して、理論もへったくれもなく、マン島でやってるんだから日本でもやれという、公道レースをとにかく開催したいというカルトの人達、つまりノイジーマイノリティ（うるさい少数）の声が大きくなり、本当に公道レースが開催されれば、かなり高い確率で人が死に、その結果、更に２輪業界の肩身は狭くなるので、小林ゆき氏などどうでも良く、自らの良心に従い、とにかく公道レースだけは最低限阻止しなければマズいと本気で思ったので、私は多くのライダーの、「公道レースなど論外」という意見を吸い上げる活動を始めた。幸いにして、最近の石原慎太郎自身が抱えるもっと大きな問題から、石原慎太郎自身が三宅島バイクイベントに対してトーンダウンし、三宅島の人達も、公道レースは回避し、別のスタイルに方向転換したので、私の活動にも一定の効果があったと自負している。しかし、その結果、モーターサイクルスポーツの主流であるロードレース界は、三宅島バイクイベントとの親和性を失ったので、まるでロードレースは避けるかのように、三宅島バイクイベントは、ＦＭＸ、ドラッグレース、モタード、エクストリーム、そして、ロードレースのトレンドではない、クラシックバイクやサイドカーと言った、バイクの競技の中でもマイノリティな分野との親和性を増すことになった。 また、国内のバイクメーカーや、国内のタイヤメーカーはこのイベントに対して距離を置いているが、輸入車販売の会社やミシュランなど、海外ブランドに関しては、まるで、悪名高いアメリカからの年次改革要望書に従い、年金保険制度を崩壊させ、そこにつけ込んでビジネスを展開してきた外資の保険会社のごとく、なりふり構わぬ協賛を行っている。これほど分かりやすい構図も珍しいが、“おつむ”が弱い２輪のジャーナリズムが、それを指摘することは全く、ない。 |
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| ★ショックドクトリン 今週は、世界の格差を拡大させた、悪名高いＧ８サミットが洞爺湖で開催されたが、洞爺湖と三宅島には、不思議な共通点がある。 まず、洞爺湖では、洞爺湖の南に位置する有珠山が2000年に火山噴火し、1万6000人が避難する災害を経験したことがある。 そしてその後、当時総理大臣だった安倍晋三は、サミットの候補地として自分の県に誘致しようとしていた岡山県を蹴り、開催を渋っていた高橋はるみ北海道県知事を説得してまで、洞爺湖でのサミット開催にこだわったことは、以前に記述した通りである。しかし、以前の記述では、単に、洞爺湖でのサミット開催は、デモ対策であるということを強調していたが、有珠山噴火については触れなかった。 洞爺湖周辺に住む人達は、今回のサミット開催により、大きな経済効果を期待していたようだが、実際にフタを開けてみると、あまりの警備の厳しさにより、むしろ観光客が来ることはなく、街は閑散とした状況になっている様子がニュースなどでも報じられていた。 そして、三宅島もまた、2000年に火山が噴火し、全島民は島外へ強制避難し、4年5ヶ月後の2005年にようやく避難指示は解除された。 これは、典型的なショックドクトリン（惨事活用型資本主義）と思われる。つまり、惨事により心身が弱っている場所を狙って、「復興には観光産業を起こすことが重要だ」と耳元で囁くという戦術である。その点で、洞爺湖と三宅島は大変酷似している。そして観光収入の結果は、三宅島も洞爺湖も、揃って“大コケ”であり、相対的にゼネコンと警察が潤うことになった。 しかし、洞爺湖は一発限りの文字通りの打ち上げ花火なので、大コケが明白となったが、三宅島でバイクイベントを推進する人達は、07年に6億4000万円、08年に2億2000万円の、計8億6000万円を使い、現時点で費用対効果が無かったにしても、今後継続的にイベントを定着させ、三宅島を、アカコッコなどの貴重な鳥が生息するバードアイランドから、環境破壊の象徴たるバイクアイランドに切り替えれば、将来的に島の観光収入は増加すると主張することだろう。仮に、5000万歩譲って、そうなったとしよう。そうなれば、島内の格差は拡大するハズである。これまで投入した8億6000万円は、都民の血税でまかなわれている訳だが、イベントによって直接儲ける人達、宿泊施設、おみやげ屋さんなどは、イベント開催を続ければ金持ちになるだろう。そして、竹中平蔵であれは、島内で金持ちが生まれれば、その人達が使う金により、トリクルダウン（おこぼれ）効果があり、全員が豊になると主張する事だろう。そして、金持ちが金持ちにならなければ、全員が豊にはならないので、医療や福祉といった、金を生まないものは切り捨て、とにかく市場原理主義を投入するべきだと訴えることだろう。つまり、惨事を活用して資本主義を注入するという、ミルトン・フリードマンの学説そのまんまである。しかし、小泉・竹中の構造改革の結果は、皆さん御存じの通り、トリクルダウン効果など真っ赤なウソだということがすでに証明されている。また、全世界的に、ネオリベラリズム（新自由主義）は格差を拡大し、大企業の私腹を肥やすことにしか貢献していないということは、これまでさんざん私が指摘した通りである。 これに対して、北欧3カ国が行っている社会福祉制度、つまりはスカンジナビアモデルは、全く考え方が違っている。彼らは充実した福祉により、まずは国民に生活の安心感を与え、みんなで共生するという考え方で政治経済を運営し、目覚ましい成功を遂げている。 具体的に言えば、三宅島や洞爺湖は、億単位の金を打ち上げ花火に使うよりかは、医療や福祉を充実させ、まずは住民が安心できる状態にすることで、住民達の自立支援をうながす雇用対策をした方が、地域から出て行く人達を食い止め、新たに移住してくる人達を増やす効果が生まれ、経済も次第に豊になっていくだろう。竹中平蔵が提唱する欺瞞に満ちたトリクルダウン効果と違い、神野直彦氏が提唱する泉のように湧き出てくるファウンテン効果の如く。 |
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| ★善政カモン しかし、北欧の国々がいかに優れているからと言って、今の日本において、ましてや三宅島という限られた地域において、オマエが言う善政など施しようがないと言う人もいるかもしれない。では、三宅島と同じく東京都内にある狛江市の例を上げてみよう。 6月22日には、狛江市で市長選挙があったが、矢野市長が4選を果たした。 豊かな狛江市をつくる市民の会 この矢野氏は、土木偏重から福祉重視で財政再建もしている庶民派の市長で、子を持つ親や、在宅介護を行っている方なら、医療や福祉を切り捨てる大阪府よりかは、この狛江市に移住したいと考えるのではないだろうか。土木利権に絡んだ村長や市長や、私の住む目黒区長（最悪な区長なのに再選しやがった）などは、ゼネコン等と癒着し、何かを建設した際に、その業者からバックマージンを頂いたりすることで私腹を肥やすことが出来るが、医療や福祉を犠牲にするので、そこに住む人達の生活は不便になっていくのが常である。それでも城南地区であれば、金持ちが多いので、投票率も低く、問題のある区長がのさばっていても、ほとんど問題視されない訳だが、地方に住む人達は、まさしく死活問題となる。従って、本当の意味で住民のことを考え、福祉や医療を重視する善政を行う人を村長なり市長なり区長に選ぶ必要があるのだが、「自民なら、猿でもうかる群馬県」とか、「共和なら、猿でもうかるテキサス州」と言った調子で、皮肉なことに地方の方が企業と癒着した政治家が圧倒的な力を持っているのが現状である。これが衆愚政治の愚かさだが、その原因を考察してみよう。 大抵の議員というのは、選挙公約を考える際に、政治に詳しくない庶民の意見を聞いて回ることなどしない。議員が選挙公約を決める際に参考にするのは、“地域のボス”と呼ばれる地元の有力者の意見である。そして、その有力者とは、大抵は土木に関連している。そして、土木利権が潤うような選挙公約が決められた後に、政治に詳しくない庶民は、選挙活動のプロ達のＰＲによりブレーンウォッシュ（洗脳）されていくのが、選挙の一種のパターンである。 このように、我が国に民主主義がうまく機能せず、一言で言えば、プロパガンダにあっさりと国民が従ってしまうのは、日本人が自分達の手で民主主義を勝ち取ったという歴史的背景がなく、封建時代からの、「“おかみ”の言うことは絶対」と言った伝統が起因しているのだろうか？ 少しは影響しているかもしれないが、全世界的に見て、プロパガンダに対する屈伏が見られるので、人間の特性自体は、どの国の人もあまり変わらず、大衆を洗脳する一種のテクニック論として、プロパガンダの存在が大きいのだと言える。 ちなみに、郵政民営化選挙の際に、コミュニケーション戦略チーム、通称“コミ戦”の代表だった、悪名高い世耕弘成（せこうひろしげ）は、アメリカの大学でコミュニケーション論を学んだプロのＰＲマンで、こうしたＰＲマンは、選挙ともなれば、対立候補を落とす為にあらゆるメディア戦略を駆使して活躍する。そして、こうした役割を担う人のことは、情報をスピン（操作）させることで、“スピン・ドクター”と呼ばれている。 |
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| ★エピローグ 今年に入り、三宅島に何度も渡って取材した人からの情報では、昨年の三宅島ＭＣフェスタ以降、島民の方達は、益々このイベントに対して懐疑的になっていると言う。例えば、漁業を営む漁師さんなどは、燃料価格の高騰に苦しめられているし、火山の影響で崩れそうな建物の修復や、その他もろもろ、問題は山積していて、2億2000万円もの金があるのなら、そうした本当に困っている部分に使うべきではないのかという憤りが島民の間で高まっているという。 また、私の元にも、島民の方や、三宅島出身という方などから、バイクイベントは島の風土には合わず、バイクイベントを開催すれば、キャンプ、釣り、ダイビング、山登り、バードウォッチング等の健全なレジャー客の減少も予想されるので、イベントには反対だというメッセージを頂いたり、あるいは、普段三宅島にダイビングに行っているという観光客の方も、当然、バイクイベントの開催中には絶対に島には行かないし、出来ればこうしたイベントは、他の観光客の立場からはやめてもらいたいというメッセージも頂いている。 そして、お台場プレイベントは、一説によると、2億2000万円の予算の内の、約3000万円が使われたようだが、1000人のライダーが集まったのであれば、１人当たり3万円分の娯楽をタダで与えてしまう大盤振る舞いをしたことになる。もし、これを読む読者の中で、お台場プレイベントをタダで楽しんだ方がいたとしたら、あなたは、三宅島の医療や福祉や、その他の自立支援等を無視して投入された金で開催されたというイベントを後押ししたことになる。もちろん、ブースに出店した２輪業界関係者も、イベントに参加したライダー達も、全員同罪である。 また、更に不幸なことに、実際には困っている島民の方達も、ライダー達が楽しんでいるようなので、なかなか反対意見を言いずらいという心境にもなっているという。つまり、昨年のイベントや、お台場で楽しんだという人達は、自分達が楽しむことで、三宅島の島民達に苦い思いも抱かせている。これは復興支援ではなく、ストレートな２輪業界の逆搾取である。 しかし、前述したように、このイベントが成功したからと言って、２輪業界が潤う訳でもない。仮に、お台場プレイベントに訪れた1000台ものバイクの持ち主が、全員７万円の渡航費を支払って、10月の三宅島ＭＣフェスタに参加したとしよう。すると、1000人のライダー達から、7000万円というお金が、２輪業界ではなく、フェリー会社に落ちてしまうのである。東京都の町のバイク屋も、そんな金が他の業界に奪われてしまうであれば、１台でも多く、オイル交換のひとつでも稼ぎたいというのが本音だろう。 つまり、三宅島ＭＣフェスタは、バイク屋にとってもメリットなどないし、三宅島の人達にとってもトッププライオリティーには到底なり得ないイベントであるし、みんなが不幸になるイベントと言って良い。 本当にバカげている。 |
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第２回定例会一般質問（08/6/17） チヒロ謹製１．０さんのエントリ 「ショックドクトリン 大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革」 ナオミ・クライン新著を語る （『デモクラシー・ナウ！』より） |
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