Erv's Letters index | Text by Erv Yamaguchi |
ザット・メイクス・ミー・ピューク 2008年7月14日 11:27 | ||
小林ゆきのエントリ チヒロ謹製1.0さんのエントリ 2輪の世界におけるアルファブロガーのチヒロさんだけでなく、多くのライダーが、小林ゆきの三宅島に対するリップサービスに対して、「ザット・メイクス・ミー・ピューク」(吐き気がするぜ)という想いを抱いたようだ。 しかし、『アーブの手紙』の愛読者や、チヒロさんのブログの愛読者には、ロードレース系の人が多い為に、ロードレース系の人達で、インターネットと親和性が高いrider2.0に対しては、三宅島モーターサイクルフェスティバルの欺瞞性がだいぶ浸透していたが、このイベントを推進している人達は、ロードレース系ではなく、FMX、モタード、ドラッグレース、サイドカー、クラシックバイクなどの別のカテゴリーにすり寄ってしまい、その人達に対する啓蒙活動にまでは私の活動が及ばなかったのが大変残念である。 |
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★ギャグではなくマジの寝言ポエマー 第2回定例会一般質問(08/6/17) 三宅島の島民の生活は行き詰ってきている。都心に住む人達でさえ、ガソリン価格の高騰や食料品価格の高騰で貧しくなっているというのに、離島の人達においては、明日生きられるかどうかも分からないという人が多くなっている。キタリンがRS125を購入した時のセリフをオマージュさせてもらえれば、「フツーのガスがリッター235円とかwwwww無理wwwww」である。しかし、これはrider2.0のセリフのオマージュであり、三宅島の漁師さんにとっては笑い事ではなく、文字通りの死活問題である。 三宅村の職員給与 しかし、同じ島に住んでいても、お金に困らない人達もいる。例えば役場で働く80人の職員は、平均年収が500万円だし、村議であれば年収1000万近くは稼いでいるだろう。こうした人達は、自分達の島に住む経済的弱者に思いをはせるよりかは、波風立てずに石原にすり寄った方が楽なのかもしれない。つまり、典型的な“お役所仕事”である。 2輪業界も同じことが言える。三宅島モーターサイクルフェスティバルに反対などして波風立てても短期的には何の得もないが、テキトーにスルーするか、あるいはテキトーに賛同すれば金がもらえるという場合もある。 注:昨年の三宅島モーターサイクルフェスティバルにてゲスト出演した岩城滉一氏のギャラは、当初、推定1000〜1500万円と言われていたが、その後、公道レースがキャンセルされたことで、ギャラは減額されたという噂もあった。しかし、いずれにせよ村議会は、イベントを運営した東急エージェンシーの経費の“一括計上”を理由に、具体的な岩城滉一氏のギャラの公表を渋っている。しかし、このギャラは、私を含めた東京都民の血税から捻出されているので、村議会にはこのギャラについても情報開示する責務があると強く訴えたいと思う。 しかし、学生や主婦と違い、社会に出て何年か経つという人間であれば、脳内お花畑の寝言ポエマー以外は、こうした社会の構図など、誰かに教わらずともフツーに理解していることだろう。ましてや、石原慎太郎というアンタッチャブルがからんでいるのであれば、何かしらヤバイ金が動いていることなど、簡単に想像ができるだろう。 しかし、昨年の三宅島モーターサイクルフェスティバルに参加した寝言ポエマーは、三宅島の島民が笑顔で出迎え、来島したライダー達に対して「ありがとう」と言ったことで舞い上がってしまっている。しかし、例えライダーを歓迎した島民が居たとしても、孤独死する老人や、明日の住宅費も払えなくなるような島民のことを考えて、2輪業界は自らの良心に従い、「2億2000万円は、島民の願いに沿った生活支援や観光振興に使ってください」と、このイベントからの名誉ある撤退を実行するべきである。 小林ゆきには申し訳ないが、この世はメルヘンではなく、すでに格差社会なのだから。 小林ゆきのエントリ
私の怒りの導火線に火を点けた↑のエントリにて、小林ゆきが語った、“みんなの笑顔”とは、社会的弱者を切り捨てた上で楽しんだ人達が笑った、という意味である。また、皮肉なことにDVDはその動かぬ証拠である。 そして、私はみんなが笑えば弱者を切り捨てて億単位の血税を打ち上げ花火に使っても良いとは当然考えてはいない。 なぜならば、石原慎太郎の悪政とは、誰かが笑えば、誰かが死ぬ、という、ゼロサムゲームに他ならないからである。 |
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★三宅島は対岸の火事ではない 上記の私の文章を読んで、「三宅島に住む社会的弱者の皆さんが可哀そう」と思った方は、石原慎太郎や平野祐康村長や佐久間達己村議などが“わるいやつら”だと考えるかもしれない。しかし、これらの人達は小者であり、日本全体を格差社会におとしめた巨悪がある。 本来私はそちらを批判したかった訳であるが、三宅島はこの問題の縮図であり、自分が属す業界が関わっていたので、随分と時間を割いて説明してしまった。 しかし、実際には、確実に日本全体が格差社会になっており、弱者は切り捨てられる方向にある。もちろん、その原因を作ったのがネオリベラリズム(新自由主義)なのだが、三宅島の問題を日本の問題に移写拡大してみよう。 日本のネオリベラリズム(新自由主義)の歴史をひもとくと、1960年代後半から下準備が始まったようだ。そして、1980年の7月に、大平総理が急死して、それで出来上がった鈴木内閣が、オイルショック後の不況対策でたまった赤字国債の削減と財政再建をかかげて、第二次臨時行政調査会を設立したが、この第二臨調の改革プランは、ネオリベラリズム(新自由主義)そのものだった。 そして、鈴木内閣を引き継いだ中曽根内閣は、第二臨調のプランを更に突き進めて、国鉄、電電、専売の3社の民営化に取り組んだ。その後は小泉内閣で、今度は郵政を民営化したのは皆さんご存じの通りである。 ここまでは教科書的なストーリーだが、私が大好きな陰謀論チックなことを語ると、中曽根内閣が出来た時と、小泉内閣が出来た時というのは、ノリが非常に酷似している。 |
◆中曽根政権誕生まで 大平首相急死→自民党内の談合により後継鈴木政権誕生→鈴木政権不人気→満を持す形で中曽根政権誕生 ◆小泉政権誕生まで 小渕首相急死→自民党内の談合により後継森政権誕生→森政権超不人気→満を持す形で小泉政権誕生 |
つまり、中曽根政権を作るために鈴木政権を作ったり、小泉政権を作るために森政権を作ったり、談合で総理を決めることで世論の反発を食らうというのは、最初から“織り込み済み”で、鈴木や森は、最初から“捨て石”だったのでは? とも考えられている。 そう考えると、国民の信任を得ずに自動的に総理に決まった福田総理は、次のネオリベラリズム(新自由主義)政権の人気を上昇させる為の捨て石の可能性が高いのではとも深読みできる。 |
★手口 これまでの歴史を観察すると、ネオリベラリズム(新自由主義)系の政治家が政権を握る時には、大々的なプロパガンダが展開されている。一翼を担っているのは、ご存じ悪名高い電通だが、このプロパガンダにおける常套手段として、徹底的な公務員バッシングがある。 中曽根が国鉄の民営化を狙い、実行に移したのは、国労の解体が大きな目的だった訳だが、この時マスコミは、一斉に国労叩きに走った。 具体的には、国鉄のヤミ手当、ヤミ休暇、時間内入浴、ポカ休(突発休)などなど。そして、その後に国労は解体されて、これ以降、労働者の権利はどんどん失われていき、ワーキングプア増産への道に突き進むことになる。 ちなみに、国労の組合員を国家が弾圧した時のエピソードで、2万人くらいの人が、人員整理の為に人材活用センターという所に放り込まれて飼い殺しにされたみたいだが、彼らは、ボロボロな建物に隔離されて、廃レールで“ぶんちん”作りを強制されたり、永遠に草むしりを強制されたりした。 |
★橋下をヒーローに祭り上げる戦略 先日、NHKにて、大阪府の橋下改革に関する番組を観たが、少し前に、橋下に対して、「遅刻するな」発言したNHKの女性キャスター問題からの確執の影響か、結果的に橋下を持ち上げる番組内容となっていた。NHKは、予算を政府与党に握られているので、民報ほど激しくはないとしても、やはり政府与党寄りの番組作りに偏向していると思われる。 しかし、NHKがこんな体たらくなので、民報はパーペキに橋下ヨイショの偏向報道を行っている。それが、前述の徹底的な公務員バッシングだ。 中曽根の国労潰しや、小泉・竹中の郵政民営化と共通している戦略だが、橋下も、大阪をダメにしているのは、あたかも大阪府の公務員だと言わんばかりに、その部分を集中的に叩き、マスコミもその部分を強調して取り上げている。 日本人の多くは、小泉・竹中の改革で散々ひどい目にあったというのに、繰り返しこのワナにハマり、橋下知事の支持率は80%と高い数値になっている。 まさに、「ザット・メイクス・ミー・ピューク」(吐き気がするぜ)だ。 |
★繰り返されそうなプロパガンダ 現在、小泉と小泉チルドレンを中心とするメンバーと、民主党の凌雲会(りょううんかい)などが手を組んで、あらたにネオリベラリズム(新自由主義)バリバリな新党を作って、大阪の橋下か宮崎の東国原とかを担ぎあげて、あるいは小泉の息子とかをかつぎあげて、郵政民営化の時のような大々的なプロパガンダを繰り広げて政権握るという構想があるようだ。(自民党と関係が深いフジテレビのドラマ、『CHANGE』は、プロパガンダの1つとも噂されている) この時に、前述の公務員バッシングと共に、ネオリベラリズム(新自由主義)の教科書に従った改革が実行される可能性が非常に高い。 例えば、国民年金や健康保険制度を破壊し、外資の保険会社を儲けさせるという、現在進行形のものを、更に加速化させて、国民皆保険制度の無い現在のアメリカのようにするという可能性もある。ちなみに、オバマは、国民皆保険を公約にしていたので、オバマが大統領になって、アメリカで皆保険が実施され、日本の皆保険が崩壊した場合、皮肉なことに日本はアメリカの歴史を逆行することになる。 また、民営化の候補としては、前述のNHKや、水道事業などが考えられる。特に、NHKの不祥事をさんざん叩き、すでに民間企業の経営者を送り込んでいることから、NHKが民営化される可能性は非常に高い。 しかし、ここで事前に私が警告していても、いざ、本当にネオリベ系の与党が、郵政民営化の時のような大々的なプロパガンダを繰り広げれば、国民は再度コロッとだまされて、NHKの民営化、あるいはネオリベラリズム(新自由主義)を推進する改革に賛同する可能性が非常に高い。 もしそうなったら、まさに、「ザット・メイクス・ミー・ピューク」(吐き気がするぜ)だ。 |
★戦術 プロパガンダにコロッと騙される人達、広告代理店のスリードが提唱した概念で言えば、“B層”の人達は、どういったタイプの政治家に弱いかと言うと、まずは、ハッキリとものを言うタイプの政治家である。その発言が、物議を醸しても問題はない。むしろ、物議は醸すが、庶民のうっぷんを晴らすようなことを言いさえすれば、B層の方達は、その政治家に対して、“強いリーダー象”をオーバーラップさせるようだ。石原慎太郎や、橋下徹などがそうした戦略をとっている。 次には、アメリカ、具体的にはCIAなどの資金的な後ろ盾がある政治家は、CIAにさえ逆らわなければ、検察も警察も怖くないと考えているようで、豊富な資金源がある為か、話し方に余裕があり、笑顔が得意である。代表的なのは、まさに小泉・竹中だが、B層の人達は、こうした政治家の余裕の笑みや態度を見て、この人達のことを、庶民寄りな政治家だと錯覚するようだ。対して、これまでアメリカに足元を救われてきた、経世会側の政治家や、構造改革を批判した人達は、ストレートに失脚させられたり暗殺されたりするようなので、とても表情に余裕など生まれず、そうした政治家や専門家の険しい表情を見たB層の人達は、そうした人達に対して不信感を持つようだ。小沢一郎などもその1人かもしれない。 |
★マジで亡命したい5秒前 広末涼子の♪MajiでKoiする5秒前♪風に。 さて、政治について真面目に考えると、絶望しかないので、皆さんがあまりものを深く考えず、とりあえずアクセルを全開にすることしか考えなくなる気持ちもよく理解できる。私自身、再度、日本国民がネオリベラリズム(新自由主義)を支持したら、真面目な話、デンマークかブータンなどの国に亡命したいくらいだ ところで、バイク乗りとは、バイクにさえ乗っていられればハッピーな人達なので、選挙に行く人などほとんどいないだろう。しかし、私の長文に耐えられるリテラシーのある人ならば、この国のことを憂い、あるいは、全人類の存続を考え、是非、ネオリベラリズム(新自由主義)を推進する政治家を選挙で落とし、社会的弱者に救いの手を差し伸べるような、べネズエラのウゴ・チャベスのような政治家をセレクトして頂きたいと思う。 政治家の笑顔に騙されてはいけない。 【参考:ネオリベラリズム(新自由主義)を推進する政策】 ・国営企業の民営化 ・労働組合への攻撃 ・金持ち大減税 ・防衛費の増加 ・輸入農産物の自由化 ・規制緩和 ・労働の柔軟化 ・CO2排出削減を理由にした原子力発電の推進 景気回復の為だとか、グローバリズムに勝ち抜く為に↑が必要だとか言う政治家は、全員疑ってかかったほうが良い。 |
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