東京都予算質疑での討論(07/02/23) 2008年4月13日 11:20 |
東京都議会予算特別委員会 総括質疑(第2日)2月23日(金)第3号 【清水委員】 マン島出張の成果に基づいて具体化される三宅島での公道オートバイレースは、知事のトップダウンで突然動き出したもので、三宅村民もあれよあれよという間に開催日まで決まってしまうという、前例のない形で進められているものです。その中には見過ごすことができない重大問題があります。以下、その問題をただしたいと思います。 第一に、バイクレースが島の復興、振興に役立つのかという問題です。 都と村は、村民に対して、レースを開催することで観光に役立ち、三宅村の振興、復興となるといってきました。しかし、この点について疑問の声が上げられているのです。 三宅島は、東京から船便で約六時間、往復で船賃が一万二千円もかかる離島で、通常、バイカーがツーリングを目的に渡航することはありません。しかも、島民の帰島生活が始まったとはいえ、噴火による被害から立ち直り切れていないのが現状です。 このような三宅島でバイクレースを開催することは、かなりのリスクが予想されます。当然マーケティング調査を行っていると思いますが、どうですか。 【大原総務局長】 三宅島のオートバイレースでございますけれども、災害復興の途上にある三宅島でレースを核としたさまざまなイベントを実施することで、観光の起爆剤にしますとともに、島の復興を内外にアピールするために開催するものでございます。 このレースは、安全性を第一に考えました上で、毎年開催して、島民を含め、見る者、走る者も楽しめるイベントとして、世界にも誇れる三宅島のシンボル的行事となり、今後の三宅島の発展の礎にしたいというふうに考えております。 このレースは、いわばお金もうけのためのイベントというふうには考えておりませんで、そういう意味で、マーケティング調査になじむものではないというふうに考えております。 【清水委員】 いろいろいわれましたが、私が聞いているマーケティング調査、市場調査はやられていないということです。 こうしたイベントを行う場合、しかも初めてのイベントである以上、どれだけ需要があるのか、採算性は確保できるのかなど、市場調査を行うのは常識ですよ。それもやらずに、ただやりたいからといって、マン島視察を強行するなんて信じられません。結果によっては、税金をどぶに捨てることになりかねないのです。だからこそ島では、本当にこれで村の景気が立ち直るのか、年一回のレースでどれだけの経済効果があるのか、疑問の声が上げられているのです。 島の関係者にお聞きしましたが、レースが開催される十一月の三宅島は、メダイ、ブダイがおいしい釣りシーズンだということでした。民宿の経営者は、十一月は釣り客でにぎわっている、こんな時期になぜぶつけるのかという声を寄せています。しかも、参加するレーサーのために、往復の船賃や民宿代を出してあげることまで検討していると聞いています。これでは、経済効果どころか、島の持ち出しになってしまうではありませんか。 私には、知事がやっていることは、災害からの復興を目指して、わらにもすがりたい島民の気持ちを利用して、自分がやりたくて仕方がないレースを押しつけているとしか思えません。 次に、レースの安全が確保できるのかという問題です。 知事はマン島に視察に行かれていますが、マン島のレースは、世界各国から公道レーサーが集まり、一週六十キロの公道を、一〇〇〇ccなどの大型バイクがそれこそ高速で飛ばすレースです。毎年のようにけが人や死者が生まれているもとで、世界格式のレースから外されています。また、危険なレースということで、プロのレーサーは参加を避け、アマチュアのレーサーが参加するレースといわれています。 では、マン島住民はどう思っているのか。観光資源となっていることは確かですが、危険な公道レースについては、住民の間から見直しを求める運動が始められているそうです。また、レース関係者の中でも、中止の動きも生まれているとのことです。実際に、知事のマン島レース視察時、前田さんというレーサーが不幸にも練習中に事故を起こし、亡くなられています。知事は、その試走の際、激励されたそうですが、そのときにレースが危険なことを目の前で確認されたはずです。 一方、三宅島は、急峻な山岳の島で、その中に民家があり、島民が生活しています。レースに使う道路は、島唯一の周回道路で、道幅も六メートルしかなく、島民の毎日の生活道路となっています。また、坪田を中心に、火山の高濃度の火山ガスも残されています。バイクレースにとっては、三宅島の方がマン島よりも数倍も危険なんです。 そこで知事にお伺いいたしますが、知事は、前田さんの事故を聞いて、三宅島レースをやめよう、少なくとも専門家の意見を聞いて再検討しようとは思わなかったのですか。お伺いいたします。(大原総務局長発言を求む)知事に聞いています。知事ですよ。 【大原総務局長】 安全性の問題ですけれども、平成十八年八月五日から七日にわたりまして、東京都がMFJ、日本モーターサイクルスポーツ協会に委託いたしまして現地調査をやっております。 その結果でございますけれども、MFJからは、島の周回都道に道路改修等を施すことによってレースの実施は可能という報告が、三宅島現地調査として提出されております。(注:つまりMFJは、レースの実現は不可能という宮城光氏の報告を無視したということです) こういうことで、私どもとしましては、MFJの公式の報告を受けて、できる限りの安全対策を施して、三宅島の復興のためにこのレースをぜひやりたいというふうに考えております。 【清水委員】 知事のご答弁を聞いたんですけど。 安全対策を確保するといわれましたが、知事は昨年、前田氏が事故で亡くなった後の記者会見で、四輪にしろ二輪にしろ、事故を起こすのは何もマン島レースだけじゃない、みんなそれを覚悟でやっているんだから、プロだからといいましたよね。人の命をそんなに粗末にする知事はどこにもいませんよ。(注:石原慎太郎の1期目の公約は、『命が守れない危機管理にNO』) 私は、プロのライダーの方の話も伺いましたが、とんでもない、命比べをやっているのではない、だれも事故を覚悟でレースをやっていない、万が一にも事故が起きないように考えている、だから、エスケープゾーンなど、安全対策が十分に施されたサーキットがつくられているんだ、安全はバイクレースをスポーツとして確立するために不可欠と、実際にお聞きをしてきました。怒りを持って語っていました。それが常識ではありませんか。 大体、日本の道路は、水はけをよくするために、道路の真ん中が膨らませてつくられています。これは建設局の方からも聞きました。また、三宅島には、滑りやすい鉄製のマンホールや中央分離帯が多数あり、危険きわまりありません。 そこで伺いますが、安全対策の内容はどうなっていますか。 【大原総務局長】 今回のレースに関する安全対策でございますが、日本モーターサイクルスポーツ協会の指導で、例えばコースとなる周回道路のマンホール等の滑りどめ、あるいはペイントですね、センターラインですとか横断歩道等のペイントの滑りどめ、それからガ−ドレールの改修、もちろん安全パットの設置、さらには、走行するマシンの機械的な部分についての制限、それから、走るライダーについて、暴走等をしないような人を選抜するとか、およそ考え得る安全対策はすべて提言されておりまして、これをすべて実施するつもりでおります。 【清水委員】 あるライダーの方は、万全の安全対策をやろうと思えば、幾らかかるかわからない、しかも、高速で転倒した場合、エスケープゾーンがないと大変危険で、予定されている二メートルほどのクッション程度では到底安全を確保できないといっていました。また、レースでは、急ブレーキをかけた場合、転倒ではなく、人間が何メートルも飛ばされてしまうと指摘していました。 ところが、三宅の場合、こうしたエスケープゾーンがつくられません。飛ばされた場合、狭い道路の向こうは、人家があったり、電柱があったり、さらには石垣があったり、断崖絶壁があったりするわけです。とりわけ、がけの下に落ちた場合、命の保障はありません。しかも、島の人を巻き込んだらどうするのですか。 都と三宅島は、MFJの協力を得てテスト走行を行っていますが、そのテスト走行を行ったプロのレーサーの方が報告書を提出しているはずだと思いますが、どのような内容だったのですか。お伺いいたします。 【大原総務局長】 ご指摘の意見というのは、先ほど申しました平成十八年八月五日から七日にわたる現地調査のことであろうと思います。これにつきましては、参加したプロのライダーが公式にまとめた報告として、先ほど申しましたように、島の周回都道に道路改修等を施すことによってレースの実施は可能という報告が出ております。 そのほかに、恐らくご指摘の件は、参加したレース関係者から個人としての意見がMFJに提出されているということは聞いておりますが、その内容は、総じて三宅島の災害復興に向けてオートバイレースが意義があるということはお認めになった上で、周回道路を使ったロードレースの開催に賛成する意見と、個別にサーキットをつくった方がいいんじゃないかという意見に分かれているようでございます。 【清水委員】 都はこれまで、これらの個人報告が都に提出されていることを否定し、その存在が否定できなくなると、今度は内容を公表できないと拒否してきました。予算特別委員会でようやくその一部が報告されましたが、報告の趣旨をきちんと紹介したものとはいえません。 いいですか。三人のうち、一人の賛成の方はもともと推進の立場の方といわれており、客観的な第三者報告とはいいがたい性格のものです。 ここに、知事、お二人のレーサーの方が東京都とMFJに直接提出された報告書があります。お二人とも日本を代表するトップレーサーであった方であり、噴火の被害に苦しむ三宅島の復興のために公道レースが役立つのであればということで、テストに協力したといわれています。それだけに、報告は苦渋の上の意見表明であることがうかがわれる真摯なものです。 反対を表明されている一人の方は、全日本グランプリレースや全米選手権のチャンピオンを獲得した輝かしい経歴を持たれた方ですが、その方の意見は、三宅島の公道レースは絶対的に開催すべきでないと結論したというものです。その理由は、視察で行われた安全対策は、現段階で考えられる危険性をカバーできるものではなく、また、いかなる対策を講じても、その対策を超えての危険性は容易に想像できると述べられています。その上で、三宅島内でロードレースを開催するというのであれば、安全の行き届いたクローズドサーキットの新規建設しかあり得ないとまで述べられているのです。 もう一人の方は、あるメーカーのレースマシンの開発ライダーを長年務めた方で、トップレースでも活躍された方です。この方は、公道を利用したスピードレースへの賛同はできません、私自身、一般道の楽しさを知っていますが、同時に、仲間を大勢亡くしているからです、マン島TTレースが参考レースとして取り上げられていますが、モーターサイクル、レース文化としての生い立ちが違い過ぎ、その継続開催されている意義が全く違う、公道レースが悪いのではなく、公道レース開催が目的になっていることに疑問を感じているのですといっているのです。週刊誌や新聞の記事を利用していっているのではありません。ここに報告書があるんです。 知事は、テスト走行を行ったプロのレーサーの方が、公式の報告書とは別に提出した報告書を読んでいないのですか。知事にお聞きいたします。 【石原知事】 私は読んでおります。中の一人は、最初は賛成を表明されていましたが、何か中にいろいろトラブルがあったみたいで、今度反対になりました。 ただ、あなたにお聞きしたいんだが、マン島には二つレースがあるんですよ、二つ。私たちが想定しているのはもう片方。あなたが想定しているのはどっちの方なんですか。 マン島には二つレースがあるんですよ。我々が考えているレースは、多分あなたが想定された、前田君が亡くなったレースとは違うレースなんです。それをご存じの上で物をいっていただきたい。二つあるんです、二つ。(清水委員「私の聞いたことに答えてください。読んだのですか」と呼ぶ)だから、私は読んでいますよ。 ですから、あなたの質問の想定が違うんですよ、前提が。マン島には二つレースがあるんですよ。そのうちのどちらを我々がやろうとしているか、あなたはご存じなしに物をいっていらっしゃる。 【大原総務局長】 三宅のオートバイレースにつきましては、MFJが四回にわたって現地調査をやっております。最初の調査は、平成十八年七月二日から四日にかけて行われたものですけれども、この調査をした後、平成十八年七月十八日付の東京新聞、「こちら特捜部」という記事がございますが、この中に、委員ただいまご指摘のあったレーサーがこういうことをおっしゃっております。 橋のつなぎ目などは気にならなかった。直し始めたら、それこそサーキットになってしまい、公道レースの意味がない。よほど危険な場所にだけ緩衝材を置くという方法でいい。小さい排気量から始め、だんだんにスピードを上げていけばいいと話す。そして、集落区間は、入り口と出口に速度をはかる光電管を設置して速度規制する。F1のピットロードと同じ。さらにスピードガンで抜き打ちチェックする。この際、警視庁の白バイのお巡りさんに集落の出口にいてもらって、違反したら、行政処分じゃなく即失格というのもおもしろいというふうに提案するというふうにおっしゃっております。 私どもも、プロのライダーに賛否があるのは承知しておりますけれども、MFJの公式報告で、安全対策を施せばレースが可能であるという報告をいただいておりますので、それに基づいて粛々と計画を進めたいというふうに考えております。 【清水委員】 安全対策を施しても、完全じゃないといっているんですよ。人が死んだらどうするんだといっているんです、この方たちは。レーサーの命をどう思っているんだということをいっているんです。知事は読んだといわれました。走る人の意見、こういう意見なんだから、このまま決めるというのはとんでもないことではないですか。 それでは聞きますけれども、あの狭く住宅地のある道路を、一〇〇〇ccや七五〇ccなどの大排気量の猛スピードの出るバイクを走らせるのですか。お伺いいたします。 【石原知事】 質問されるのは結構ですが、あなたは多分ご存じないからお教えいたしますが、マン島には、全体六十キロの数回回る、いわゆるトップのマシンで走る、前田君が亡くなったそっちのレース、これはたびたび死者が出ております。私たちが考えているのは、その前に行われる、こちらの方がむしろお客さんが多いんですね。それはどういうことかというと、三宅島よりもっと狭隘な、いわゆる住宅地の中を走る、クラシックカーといいますけど、本当、数年前まではそれなりの性能を持っているマシンが走るレースです。これは私も便乗しました。三宅島の村長も、一緒に行った八丈島の町長も一緒に乗りました。非常に怖い思いをしました。しかし、ほとんどプロテクションのない、本当に家と家の間を走るレースでありました。 しかし、それはそれなりに、三宅島では防御策を申しますけども、私たちがやろうと思っているのは、いわゆるクラシックカーレースといわれている、いわゆるマン島のレースの前段に行われるレースのことでありまして、一回どうか現地を共産党の方もごらんになって、それで物をいっていただきたい。 【大原総務局長】 オートバイレースの使用するオートバイでございますけれども、委員ただいまご指摘のあった、例えば一〇〇〇ccとか六〇〇ccとかという大排気量のマシンではなくて、詳細は今、専門家、例えば、現実にマン島を走った経験のある高橋国光さんという有名なライダーがいらっしゃいますけれども、こういった方に検討していただいておりまして、そういう大排気量ではなくて、安全も考えて、もっと小さい排気量のレースを考えています。 【清水委員】 ホンダの広報担当者の話としても、排気量が小さいと、逆にコーナリングの速度が上がり、転倒の危険性が高くなる。これは新聞で書いてあります。 私は、マン島で走った方、マン島で一九六一年から三年にわたって走った方に、きょう聞いて、一二五cc以下でやるんだと、東京都が。そうしたら、コーナースピードは、小さい方が出るんだと、上がるんだと。とんでもないということを、だって、私、聞いてきたんですから、マン島の。 周回道路の一部には、住宅の集まっている坪田地区の集落があります。ここをスピード制限なしで走らせるんですか。 【大原総務局長】 レースの詳細につきましては、先ほど申しましたように、専門委員である高橋国光さん等に検討を依頼して詰めているところでございます。 ただ、小排気量であっても、コーナリングスピードは、死ぬほど飛ばせば出るかもしれませんけれども、ライダーは、そういうコースアウトするとか転倒するとかという、そういうことのために走るのではなくて、困難なカーブを安全にできるだけ早く走ることに挑戦するわけでございます。 それから、レースの中身についても、これも現在、詳細を詰めているところですけれども、ただ、やたらにスピードだけを競うというようなレースの形ではないものもあわせて検討しておりますので、安全性については、できる限り最大限の配慮を払ったレースになるというふうに考えております。 【清水委員】 住宅があるのは坪田だけではありません。レーサーにとっては、狭い道路で、しかも緩衝マットで四分の一をふさがれている道路を高速で走ることは、危険この上ない話です。一二五ccのバイクに、速度が出ないようにそういう装置を取りつけるという話も聞いています。それでもコーナリングの危険は消えないと聞いています。 大型車のレースは中止、一二五ccのバイクは速度が出ないように規制する、その上、周回道路の一部には、例えば速度制限地域をつくるなどということになれば、レースとしての興味も半減します。 しかも、そうして全体としても安全も保障できない、危険きわまりない。安全対策をとることは歓迎しますが、私は、これが知事が視察したマン島TTレースと同じものとは思えません。これで人が集まるのでしょうか。 このまま走っていいのですか。本当に無責任です。一たんこうした悲劇が起きた場合、島のイメージに与える影響は取り返しがつかないことになります。 関連して伺いますが、三宅島のレースは、日本モーターサイクル協会、MFJの公認もしくは承認を受けたレースとして開催するのですか。 【大原総務局長】 日本モーターサイクルスポーツ協会は、国内のサーキット等におけるレース運営の統一性を確保するために、その公認または承認を行っておりますが、今回の三宅島オートバイレースは、これまで我が国には例がありませんことから、現時点では、この協会の公認または承認の対象とはならないのではないかというふうに考えております。 しかしながら、同協会(MFJ)からは、このレースの開催に協力するという確約を得ておりまして、実質的には、公認、承認レースと同様に、この協会の指導、助言のもと開催ができることになります。 また、次回以降につきましては、この協会の公認または承認を得られるように要望したいというふうに考えているところでございます。 【清水委員】 今ごろになって、公認、承認の対象でないなどといっていますが、もともとは公認レースとして準備をしていると説明してきたではありませんか。本当のところは、MFJからすれば、危険過ぎてレースとして承認できない、ましてや公認レースになど到底認められないというのではないですか。しかも、MFJの内部でも意見が分かれていると聞いています。 私は、勝手な思い込みでいっているわけではありません。公道レースが危険レースだということは、世界の常識になっています。まず、世界の流れ、日本のバイクレースの流れは、公道レースから、より安全なサーキットに移っているということです。確かに公道レースは、サーキットが普及していなかった時代に盛んに実施されてきましたが、危険性が余りに高いので、サーキットが主流になっているのです。現在、公道レースをやっているのは、マン島とマカオなどに限られています。 大体、マン島レースに参加するレーサーには、プロのレーサーは見られません。むしろ、ヨーロッパのレーサーの間で使われているブラックジョークで、サーキットレースで乱暴な運転で転倒ばかりするレーサーに対して、一回マン島レースに出てこいというのがあるそうです。これは、マン島で怖い思いをしてこい、そうしたら、そんな未熟な乱暴なレースはできなくなるということを示したものだそうです。 私は、山梨県のサーキットにも行きまして、そのオーナーの方から話を伺いましたが、その方も、公道レースなんて考えられない、本当にそういうようなことをいっておられました。 メーカーもそっぽを向いているのが実態ではありませんか。私は、ホンダやスズキなどのメーカーからも話を聞きました。いずれも安全性に疑問の声を上げられていました。ホンダはむしろ、サーキットを日本で最初につくったメーカーで、都からお誘いがあっても、公道レースは安全性が確保できないから参加しない。また、スズキは、公認レースでなければ参加しないと伺いました。 都は、一定の力量のライダーだけに絞るといっていますが、これも現実離れした話にすぎません。多くのレーサーは、バイクの提供を初め、何らかの形でメーカーの支援を受けており、バイクメーカーの協力なしにはレースに参加することは難しいといわれています。こうした制限をつけたレースで、しかもメーカーの協力を得られないとなると、技術のあるレーサーからは敬遠されてしまうということです。プロのライダーの方の意見では、レースの素人に近い人が参加することになり、逆に事故の確率がふえるということです。 集客のためのイベントとして、プロのレーサーによる大型車のエキシビションレースを実施するということも危険な話です。これもプロのレーサーの方は、一たん走り出せば、模擬レースだとしても、レーサーの特性で限界のスピードで走るし、前の車を抜こうとする、危険性はレースと変わらないといっていました。だから、都は、レースに当たって、二台のヘリコプターと四台の救急車を待機させるとしているのではありませんか。 これについて問題と思うのは、三宅島には二台しか救急車がなく、都内から応援を受けなければならないということです。それでなくても、救急車の出動が急増し、到着の遅延が問題となっているときに、前後五日間も都内の救急車を持っていくということは、都民の安全をどう考えているのかと思わざるを得ません。 今、指摘してきたように、どの角度から検討しても、三宅島での公道レースは危険に満ちているということです。知事、万全の安全は確保できない、しかも、レースとしての魅力のないものになりかねない、これが、知事がイギリスのマン島まで行って、鳴り物入りで進めようとしているバイクレースの実態です。 知事にもう一度お聞きしますが、これでもレースをやめるとはいえないのですか。せめて再検討するということぐらいやったらいいじゃないですか。知事のトップダウンで始められた事業だから、知事がやめるといわなければとまらないんです。お聞きします。 【石原知事】 詳しいことは総務局長がお答えしますが、あなたね、いまだに混乱して、無知のままに、認識を欠いて物をいってらっしゃる。一回マン島で行われているクラシックレースを見てごらんなさい。もっと狭隘な路地を、ほとんど場合によっては直角に回る、そういうレースをやっています。これは逆に、要するに、観客の少ないマン島よりもはるかに人が多くて、クラシックレースというのは、非常に伝統化しているものでありましてね。一回現地を、できたら、あなた、自分で走ってみたらいいんですけれども、その上で物をいっていただきたい。 だから、三宅島とマン島で行われているクラシックレースのコースというのを比べてみてください。 【大原総務局長】 このレースについての知事の意見といいますか、発案ですけれども、私どもが承知している限りでは、平成十七年一月十四日の記者会見で三宅島のレースについて知事は言及しております。その後約一年、この間、時々は記者会見等でも発言されておられますけれども、ずっと恐らくアイデアを温めてこられて、平成十八年一月三十一日になりまして、事務方の方に具体的な検討をするようにという指示がございました。そこから私どもが具体的に、マン島のレースですとか、あるいは三宅、それから八丈の状況その他を調べまして、可能であろうというふうに考えて、レースをするということで意思決定をいただいたものでございます。 先ほどメーカーのことがございましたけれども、都としてはレースに反対するというご意見は、直接はメーカーからお聞きしておりません。メーカーの方々には昨年七月、それから十二月、二度にわたりまして、レース開催へのご協力をお願いいたしました。この際いただいたご意見等も踏まえまして、現在、レース及びイベントの内容等を検討しておりまして、今後具体的な内容がまとまり次第、また十分にメーカーの方にはご説明をして、ご理解とご協力を求めたいというふうに考えております。 【清水委員】 確かにメーカーの中でそういわれたところはあります。しかし、私が聞いたホンダとスズキというところは、はっきりと、私が先ほどいわれたとおりなんです。 知事は、昨年四月二十八日の記者会見で、国会議員時代から三宅島での公道を使ったレースを行うようたびたび持ちかけてきたといっています。ところが受け入れてもらえなかったという趣旨の発言をしています。つまり、自分の昔からの思いつきを実現するために、マン島への出張を行い、三宅で公道レースをやらせるんです。自分がいい出したことはどんなことがあっても改めようとしない。こんな知事に知事の資格はないと思うのは、私一人ではないと思います。 三宅島公道レースは断念すべきことを改めて表明しておきます。 この問題の最後に、三宅島の復興支援というのならば、もっとやるべきことがあると思います。都と三宅村は、それぞれ開催経費をどれくらい見積もっているのですか。また、村は災害復興予算を充てると聞いていますが、どうですか。お答えください。 【大原総務局長】 本年十一月に開催を予定しております第一回三宅島オートバイレースに要する経費でございますけれども、総額で初期投資を含めまして約六億四千万円を見込んでおります。そのうち、都といたしましては、レースの専門的検討、企画調整に要する経費として四千万円、また、都道の改修に要する経費として約三億円を計上しております。 一方、村が負担するレース運営等に要する経費につきましては、現時点で約三億円が見込まれているところでございます。村が負担する経費につきましては、村の予算編成の中で検討しているというふうに聞いておりますけれども、都といたしましては、この事業が災害復興に資するものであり、三宅島災害復旧・復興特別交付金の充当が可能であるというふうに認識しているところでございます。 【清水委員】 さすがに災害特別交付金の充足が可能といえるだけで進められるものでないことを事実上認めたことになります。 大体、その六億円余りのお金は、島の復興と島民の生活再建のためにあるものではありませんか。今仕事がなくて戻れないとか、住宅が使えないとか、高濃度地区に家があるなどの理由で、島に戻りたくても戻れない島民が九百五十七人もいますよね。もう六年以上もたち、島から遠く離れた都会で生活を過ごしているんです。この方たちは仕事や生活費に困窮しており、支援を待ち望んでいます。また、島に戻った方たちも、仕事の確保や溶岩流に覆われた農地や宅地の除去、改修が必要な住宅など、これも深刻な事態に置かれています。 大体知事は、帰島後、東京に残された島民たちへの支援は冷たく打ち切っているのですよ。それなのにバイクレースには税金を惜しまないというのでは許されません。災害復興の予算は目的どおりに使うことを申し述べておきます。 以上、指摘してきたように、知事がトップダウンで海外出張を行い、その成果として進める施策の多くは、知事の自分勝手な思いが持ち込まれたものです。マン島以外にも、ニューヨーク、台湾など、見過ごすことができません。知事、海外視察のあり方そのものについて都民の怒りが寄せられており、抜本的な見直しを避けて通ることはできません。 私は、第四回定例会で、海外出張について、都民の納得の得られるものに厳選し、節約すべきという質問をしましたが、知事は答えませんでした。知事のロンドン・マン島出張の総費用は約三千五百万です。知事に改めて伺いますが、海外出張は、都民が納得できるものに精選すべきと考えますが、どうですか。知事自身の出張ですから、事務方などといわず、知事がお答えください。 【石原知事】 私の海外出張は都政に反映するために目的を持って行くものでありましてね。しかし、その要するに成果というものはすぐにあらわれるものではありません。いろいろご指摘のある問題にしても、この間のマン島も、これはやっぱり三宅のレースはやろうと思っていますし、私の恣意的なものじゃなしに、私はあそこ、選挙区でありまして、衆議院のとき。非常に地理的に悪いところでしてね。八丈ほど暖かくない。大島ほど近くない。非常に中途半端なところにありまして、そのころから疲弊していたんです。ですから、私は、自転車のレースをやるか、自動車のレース−−オートバイのレースをやったらどうだということをいっておりました。 しかし、今度、十八年ごとに大概あの島は爆発するんですけれども、また今度、ガスを噴くような、今までなかった形で惨状を呈していましてね。それは若い人は帰っていかないし、あの島に活力を与えるためにはこれしか方法がないと思うから、私は、村長を語らって、要するに、マン島まで行きました、参考のための視察として。それで、共産党を除く村議会は全部賛成されたようでありまして、私はこれしか活路がない−−ほかにあるなら出していただきたい、あなた方。ただ金をばらまくだけでは島はよみがえってこないんです。ですから、これは思ったとおりやりますし、この準備をしてまいります。 東京都予算質疑での討論(07/03/06) |